ゴールデンウィークも終わっちゃうし・・・
と、なんとなぁく憂鬱な気持ちを抱えている頃、こよみの上ではとある季節の節目を迎えます。
それが、「立夏」です。
節分の翌日である立春は注目されがちですが、立夏はなんとなく過ぎていたということも、無きにしも非ずだったりしませんか?
言われてみれば・・・
- 立夏っていつ?
- 立夏って夏じゃないの?
- 立夏の行事って何かあるのかな?
- 立夏には行事食があるの?
- そもそも立夏ってどういう日?
などなど、あれ?と思う事が多いのではないでしょうか。
もし、どこかに思い当たる節があるとしたら、この続きをご覧になってみてください。
立夏にまつわる素朴な疑問が、少しでも解消できますように♪
立夏とは?
立夏は、二十四節気の1つです。
こよみの上では、この日から立秋の前日までが夏季になります。
また、「夏が来たよ」という意味を持つ「夏が立つ」や、「夏は来ぬ」という言葉でも表わされます。
立夏の意味は?
二十四節気での立夏は、初夏四月節にあたります。
なぜゆえにこの時期を立夏と呼んだのか?こよみ便覧の記載を確認すると、
「なつの立つがゆへなり」
と、記されています。
※こよみ便覧=江戸時代(1787(天明7)年)に出版された暦の解説書で、国立国会図書館と東京大学で蔵書しています。
こちらから、デジタルデータを確認することができます。⇒「こよみ便覧」
直訳すると「夏が立つから(立夏というの)である」となりますが、夏が立つって何?と疑問に感じたりはしませんか?
ここでの「立つ」には、自然界の現象が目立って現れるとか、新しい季節が始まるという意味があります。
つまり、初めて夏の気配が現れてくる日や、夏めいてくる頃だから立夏と呼んだというわけです。
確かに、5月に入ると4月とは違った暖かい日が増えてくるように感じます。
湿気の多い梅雨に入る前の、少し冷たい風が心地よい爽やかな晴天の日は、これから夏が来るよぉ~!という、合図なのかもしれませんね^ ^
2024年の立夏はいつ?
立夏は、毎年5月6日頃もしくは、立夏から次の節気である小満の前日までの期間を指して呼ばれます。
また、国民の祝日のように、毎年必ずこの日と決まっているものではありません。
地球の赤道を、天球上に投影した線を「天の赤道」といい、天球上での太陽の通り道を「黄道」といいます。
そして、天の赤道と黄道が交わる2点のうち、北から南へ交わる点を「春分点」、もう一方の点を「秋分点」といいます。
この春分点を起点として、黄道を360℃に分けたものが「黄経」で、春分点は黄経0℃、秋分点は黄経180℃になります。
天文学上、立夏は、太陽が黄経45℃の位置に達した時と定められています。
つまり・・・
1年がぴったり365日ではなく、うるう年で帳尻を合わせていることと同じ原理が働いているため、立夏の日は一定ではないのです。
さて、気になる立夏の日ですが、今年(2024年)は5月5日で、その期間は5月5日~5月19日迄となっています。
立夏はどんな季節なの?
ところで、立夏の頃の日本は、どんな季節を迎えるのでしょう。
日本は南北に長いので、お住まいの地域によって思い描く情景が違うかと思います。
ここでは、二十四節気の一つの節気を、さらに初候、次候、末候(約5日ずつ)の3つに分けて気象や動植物の変化を知らせている七十二候の言葉を用いて見ていきます。
立夏 初候 蛙始鳴
「蛙始鳴(かわずはじめてなく)」
※「かわず」は本来別の漢字ですが、表示できないため、同様の意味を持つ「蛙」で代用しています。
「かえるはじめてなく」とも読まれます。
読んで字のごとく、蛙がはじめて鳴く時節を表しています。
田植えが終ったころ、ふっと気が付くと、昨日までは聞こえなかった蛙の声が聞こえてきたりして・・・。
あ!蛙。そんな時期かぁ~。
なんて思うことはありませんか?
農業が中心だった日本で、今よりもっと田んぼがたくさんあった頃。
蛙の鳴き声は、季節の変わり目を知らせる合図だったのかもしれません。
立夏 次候 蚯蚓出
「蚯蚓出(きゅういんいずる)」
※「みみずいずる」とも読みます。
蚯蚓はみみずのことで、みみずが地中から這出る時節を表しています。
みみずというと、気持ちの悪いイメージがあるかと思います。
でもね、みみずは畑にとって必要な生物なんです^ ^
みみずは、土を食べて排泄します。また、地中5mの深さまで掘り進むことができるといわれています。
みみずが地中を掘り進むことで、目に見えないところで土が耕されています。
つまり、土の排水性が高くなるということです。
逆に、水はけの良すぎる土壌では、みみずの排泄物によって保湿性が高まります。
しかも!
みみずは土と一緒にたくさんの微生物を食べますから、その排泄物は腐葉土の素となります。
人間が行う、地を耕して肥料を撒いてという作業を、小さななみみずが全てこなしているのです。
みみずは、いい土壌をつくってくれる万能選手なのですから、あまり邪険にしないでくださいね。
立夏 末候 竹笋生
「竹笋生(ちくかんしょうず)」
※「たけのこしょうず」とも読みます。
竹笋は筍と同じ意味で、たけのこが生えてくる季節を表しています。
あれ?でも、筍ってこの時期じゃないんじゃ???
と、思われましたか?
解ります^ ^
私達が普段食べているたけのこは、「孟宗竹」といってこの時期が旬ではない事は確かです。
では、何をして「竹笋」なのでしょうか?
実は、古くから日本文化に根付いている竹があります。
「真竹」です。
真竹は、茶道具の茶筅や尺八、提灯など、意外と身近なものに用いられています。
「竹取物語」でも、光っていたのは真竹でしたね!
孟宗竹は外来種でもあることから、七十二候での「竹笋」は真竹だといわれています。
さて・・・
次にいきたいところですが、長くなってしまいました。
あまり長いと読むのも疲れます。
残ってしまった、立夏の時期にある行事や行事食については、記事を改めてお届けしています。
≪参考≫
日本の七十二候「竹笋生」(たけのこしょうず)/ 和の心
七十二候「蚯蚓出」。土作りの味方、ミミズの謎 / 日々是活き生き-暮らし歳時記
旧暦で楽しむ日本の四季 二十四節気と七十二候 / 別冊宝島編集部編著
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