半夏生の日の食べ物は、例えば、こどもの日の柏餅のように、日本全国どこでも同じというわけではありません。
それは、地域によって違っており、主な食べ物に「タコ・鯖・うどん」があります。
これら3つの食べ物それぞれについて、半夏生の日に食べられるようになった理由もしくは由来、そして食べ物の持つ効能を「半夏生の食べ物の由来と効能シリーズ!」と勝手に銘打ってお届けしています。
今回は、二つ目にあげている「鯖」についてです。
半夏生の日に食べる鯖を、その風習がある地域では「半夏生鯖」と呼んでいます。
半夏生鯖(はげっしょさば)の由来
半夏生鯖は、半夏生の日に一匹丸ごと焼いた「焼き鯖」を一人1本家族全員が食べるという、福井県(大野市を中心とした地域)に伝わる風習です。
鯖といえば、秋鯖というほどで、脂がのっておいしい旬の時期は秋です。
旬の時期にはまだまだ早い半夏生の日に、どうして焼き鯖を食べる風習が生まれたのでしょう。
そこには、こんな由来がありました。
時は江戸時代、この地域が大野藩と呼ばれていた頃・・・
海沿いの四ケ浦に、飛び地の領地を持っていました。
この地では、鯖の水揚げが多く、年貢として納められるほどでした。
当時の大野藩主は、漁村の年貢軽減と田植えで疲れた農民の栄養補給のために、鯖を食べることを推奨する令書を発します。
すると、その令書を見た町の魚屋さんが、半夏生の日に焼いた鯖を売り出したのです。
農民にとって魚は高価なものでしたが、この日ばかりは、家族分を買い求め食したそうです。
この事が次第に定着し、時代と共に受け継がれ現在も風習の1つとして根付いているのが半夏生鯖です。
余談になりますが、半夏生鯖を「はげっしょさば」と呼ぶのは、土地の方言で、半夏生を「はげっしょ」というからです。
そこに、別の意味はありません。
あしからず・・・
鯖の持つ効能とは?
鯖に含まれる豊富な脂質は、たんぱく質を補う役割をし体力をつける働きがあります。
中でも、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)など多価不飽和脂肪酸の量は、他の魚と比べて群を抜いています。
多価不飽和脂肪酸には
- 血中コレステロールや中性脂肪の低下
- 血液を流れやすくする
という働きがあり、動脈硬化や血栓が原因で起こる脳梗塞や心筋梗塞を予防する作用があります。
さらに、DHAには脳細胞を活性化する効果があることが解っており、ボケの予防にも一役かってくれます。
それだけではありません!
- 口内炎や口角炎の予防、改善に役立つビタミンB2
- 悪性貧血の予防や肩こりの解消に効果のあるビタミンB12
- カルシウムの吸収を助け、骨粗鬆症の予防に役立つビタミンD
など、ビタミン群が豊富に含まれている事も鯖の特徴です。
特にビタミンB群は、糖質や脂質の代謝を進め疲労回復や細胞の再生に効果を発揮します。
鯖の持つ様々な効能をみると、半夏生に鯖を食べることは、田植えで疲労した身体にとってとても効果的だったということが解ります。
一身体にいい栄養素がたくさんの鯖!一口食べるごとに、健康になりそうな気がしてきます^ ^
おまけ☆新鮮な鯖の選び方!
突然ですが、「鯖の生き腐れ」という言葉はご存知ですか?
鯖は、自分のもつ分解酵素で自己消化をおこしやすい魚です。
つまり、とても痛みやすい魚ということになります。
「鯖の生き腐れ」は、「一見新鮮そうに見えても、内部が傷んでいる事もある。」ということを形容した言葉です。
おいしそう!と思って買ったのに、調理しようと思ったら痛んでいた(T T)なんていう目に合う事のないように、鯖の選び方のポイントを挙げておきます。
- 背の青緑色の斑紋がはっきりしていて、腹の銀色のところが光っているもの
(斑紋が黒色ではっきり出ているものは輸入品です。) - 身や皮にハリがあるもの
真ん中を指で持った時に、身がピンと張っているものほど新鮮です - 目が澄んでいて、エラが赤く鮮やかなもの
目が濁っているものは、鮮度が落ちています - 切り口が柔らかく見えないもの(切り身の場合)
以上、お買い物の時の参考にしていただければ幸いです。
「半夏生の食べ物の由来と効能シリーズ!」タコとうどんについては、以下にご案内いたします。
お時間が許すようであれば、ご覧になってみてください^ ^
≪参考≫
半夏生さば(はげっしょさば) / 株式会社キョウエイホーム
夏ばて予防の半夏生鯖 / スクールランチ 越前市
サバ(鯖/さば):栄養価と効果 / 旬の食材百科
旬の料理 魚を選ぶ ~魚の見分け方~ / 料理のまえのかくし味
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