昼の長さが一番短い日ということもあって、冬至は二十四節気の中でも良く知られている節気のひとつです。
冬至かぼちゃやゆず湯の風習も、古くから受け継がれ現在も定着しています。
そんなこともあって、冬至の日を気にする方は多いかもしれません。
ただ、冬至という言葉は、その日1日だけではなく、ある一定の期間をも指しています。
冬至の日は、本格的な冬を迎えたことを知らせてくれる日です。
そして、冬至の期間中に、大晦日を迎えて年を越し新年を迎えます。
冬至の期間は・・・
と、すぐに話を始めたいところですが、それだけを書くと、あっという間に終わってしまいます(汗;
せっかくですので、暦便覧や七十二候の言葉を借りて、冬至の意味や季節についても見て行こうと思います。
冬至の意味とは?
二十四節気を解説する時に多く用いられているのが、こよみ(暦)便覧という暦の解説書です。
ここでも、こよみ便覧にある冬至の記載を基に説明させていただきます。
こよみ便覧の、冬至の欄を見ると
日南のかぎりを行て 日の三(み)じか記(き)のいたりなればなり
※支障のない程度に、当時の仮名遣いを再現しています。
と、書かれています。
解り易く、現代の漢字かな混じりで書くと
「日南の限りを行きて、日の短きの至りなれば也」となります。
要約すると、日(太陽)が、一番南端を通るので、日(昼の長さ)の短いことが極まるから(冬至)であるということです。
日本のある北半球では、冬至の日の、日の出・日の入りの方角が最も南寄りになります。
太陽は、一年中同じ道を通っているわけでは無く、下にある図のように軌道が動きます。
太陽が南側を通ると、昼の時間が短くなるということが、目で見てお分かりいただけると思います。
冬至の期間!2023年はいつからいつまで?
さて・・・
冒頭で、冬至はその日だけではなくある一定の期間をも指すというお話をしましたが、覚えていらっしゃいますか?
冬至の期間は、冬至の日から次の節気である小寒の日の前日までとなります。
重ねてになりますが、この期間中に年を越し新年を迎えます。
今年から来年にかかる冬至の期間を具体的な日にちで示すと、2023(令和5)年12月21日 ~ 2024(令和6)年1月5日迄です。
また、冬至の日や、簡単に冬至の日を求めることができる方法などを、こちらの記事でご案内しています。
冬至はどんな季節なの?
ここからは、七十二候の言葉を用いて、冬至の季節についてお届けいたします。
七十二候は、1つの節気を3つ(初候・次候・末候)に分け、それぞれの時候を、短い言葉で表現したものです。
冬至ってどんな季節?というふうに改めて考えることは、そうそう無いかと思います。
ご興味あれば、ご覧になってみてください。
冬至 初候 乃東生
「乃東生(なつかれくさしょうず)」
夏枯草が、芽を出す季節を表しています。
のっけから「?????」となっていませんか?
夏枯草なら、そのまま読んで「なつかれくさ」なので、そういう草があるのかな?程度で済むかもしれませんが、乃東と書いて「なつかれくさ」とは、なかなか読むことができません。
ちなみに、乃東の読みは「だいとう」です。
乃東と書いてなつかれくさと読んでいる事には、ちゃんとした理由があります。
それは、夏枯草も乃東も、同じ植物の別名だからです。
その植物は、靫草といいます。
靫草は、冬至の頃に芽を出し、6~7月頃に紫色の花を咲かせ、夏至の頃に枯れていくという植物です。
夏に枯れるという事もそうですが、他の植物が枯れてしまう冬に芽を出すという事は、本当に珍しいと思います。
また、古い時代の日本の冬を顧みると、冬至の頃に見る植物の芽は、希望の光のようにも感じます。
年を越すこともそうですが、冬を越すこと事態が大変だった時代です。
食料も乏しく、暖を取るのも一苦労な時期に、土の下から芽を出す靫草を見ることで、もう少しで春が来る!と、明るい気持ちを持つことが出来たのではないでしょうか。
冬至 次候 麋角解
「麋角解(さわしかのつのおつる)」
大鹿の角が落ちる季節を表しています。
毎年春に生え始める雄鹿の角は、この頃になると、抜け落ち始めます。
麋は「なれしか」とも読み、大きな鹿という意味で、ヘラジカやワピチ(エルク)、アカシカの別名とされています。
鹿は、日本人にとって、古くから馴染みのある生き物です。
秋の季語として、多くの和歌にも詠まれています。
花札にも、紅葉と一緒に描かれていますね^ ^
このように、鹿が秋を連想させることから、鹿の肉を「もみじ」と呼ぶようになったと言われています。
肉といえば、鹿は猪に並ぶ狩猟の対象でもありました。
縄文時代の遺跡からは、多数の遺物が出土しています。
当時は、肉を食べるだけではなかったようで、骨や角から、道具や装飾品を作っていたことが解っています。
ところで、鹿というと、奈良の鹿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
「鹿の角切り」と混同させてしまいがちですが、この行事は別物です。
秋になると、立派に成長した鹿の角は硬くなります。
その角で、人を傷つけてしまったり、鹿同士が傷つけあったりすることがないように行われているものです。
冬至 末候 雪下出麦
「雪下出麦(せつかむぎをいだす)」
※「ゆきわたりてむぎのびる」とも読みます。
降り積もった雪の下で、麦がひっそりと芽吹く季節を表しています。
食物の種は春にまくというイメージがありますが、麦は、秋に種まきをする地域がほとんどです。
秋蒔きといわれ、収穫時期は初夏になります。
麦は、近年のヘルシーブームやダイエットブームも手伝って、その栄養価や効果に注目が集まっています。
もしかしたら、白米に麦(大麦)を加えてご飯を炊いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
季節の話からはそれてしまいますが、大麦のすごいところを、ざっくりとお話しいたします。
大麦には、白米と比べると17倍以上の食物繊維が含まれています。
それだけでも、すごい事なのですが、
- 血中コレステロールの上昇抑制や、糖の吸収を抑える働きをする水溶性食物繊維
- 腸の運動を活発化させることで、便秘を改善する不溶性食物繊維
という2種類の食物繊維が、どちらもほぼ同量で含まれている優れものです。
大抵の食物は、2つのうちどちらかに偏りがあるので、組み合わせて食べることでバランスが生まれますが、大麦はそれだけでバランスが取れている食物になります。
加えて、カルシウムやカリウムなどの身体に必要な栄養素も豊富に含まれています。
ほんの片鱗ではありますが、ご参考までに・・・。
最後に・・・
冬至には、ゆず湯に入るご家庭も多いかと思います。
でも、ゆずって意外と高かったりしませんか?
そこで、提案です!
ゆずよりもっと手頃なみかんでみかん風呂を楽しんではいかがでしょう。
みかんを丸ごとでもいいですし、食べ終わったみかんの皮をネットに入れてお風呂に浮かべるだけでOKです。
みかん風呂にも、血行促進作用や美肌効果があると言われており、天日干ししたみかんの皮を使うとより効果を発揮するそうです。
ただ・・・
みかん風呂に入ってピリピリすると感じたら、長湯をしないように気をつけましょう。
※アレルギーをお持ちの方は、特にご注意ください。
≪参考≫
旧暦で楽しむ日本の四季 二十四節気と七十二候 / 別冊宝島編集部編著
乃東生・なつかれくさしょうず 雪下出麦・ゆきわたりてむぎのびる / びお 町の工務店ネット
七十二候・第六十五候 「 麋角解 ( さわしかのつのおつる ) 」 12/27~12/31 / 暮らしのほとり舎
大麦の栄養 / はくばく
コメント
有益なお話を提供いただき、ありがたいです。
富永さん
こんばんは。
少しでも、お役に立てたようでうれしいです。
コメント、ありがとうございました。