「お彼岸」という文字を見て、「おひがん」と読むことはできるかと思います。
では、お彼岸とはどんな日の事をいうのでしょうか。
そういえば・・・
お彼岸って、どうしてお彼岸っていうんだろう?
そんな事は、考えた事も無かったけど言われてみたら気になる!と思ったなら、ぜひ!この先をご覧ください^ ^
お彼岸は日本だけのもの
お彼岸は日本だけの行事で、おなじ仏教徒である中国やインドには無いものです。
今では、仏教行事の1つになっているお彼岸ですが、日本に仏教が広まる前から、この時期には自然や祖先に感謝する習慣があったとも言われています。
お彼岸が仏教行事として行われ始めたのは、平安時代のこと。
ただ、この頃は一部の人達の間だけで行われており、民衆の間に広まったのは江戸時代になってからということです。
お彼岸の意味は?
「彼岸」の語源は、梵語のパーラミター(波羅蜜多)の漢訳である「到彼岸」になります。
わかりやすい日本語にしていくと、「到彼岸」→「彼岸に到る」→「彼の岸に至る」という具合です。
「彼」には「あちら」という意味がありますから、「お彼岸」は私達が生きている「煩悩や迷いに満ちた世界」(こちら側)から、「煩悩や迷いの無い世界」(あちら側)へ至るという意味になります。
「煩悩や迷いの無い世界」は、いうまでも無く極楽浄土=天国です。
ちなみに・・・
あちら側を指す「彼岸」に対して、こちら側を「此岸」と言います。
お彼岸は修行の期間!?
お彼岸が修行の期間にあたるということは、想像もつかないことかもしれません。
実のところ「彼岸」の語源であるパーラミター(波羅蜜多)には、「修行の完成」という意味があります。
つまり、修行の結果たどり着くことのできる理想的な場所が「彼岸」なのです。
お彼岸は、その期間中の6日間(中日を除く)に「六波羅蜜」の修行を1日に1つずつ実践して、「極楽浄土へ渡ることができるように」と願う、実践信仰の期間とされています。
六波羅蜜(ろくはらみつ)の修行とは?
六波羅蜜の修行は、他の人をも救う(悟らせる)修行といわれており、六つの修行からなっています。
それぞれを、簡単にご紹介いたします。
布施(ふせ)
様々な施しを、させていただく修行です。
施しというと、金銭面を思い浮べるかもしれませんが、それだけではありません。
困っている人へいたわりの言葉をかけたり、優しい笑顔で接することで安心感を与えるなど自分にできる精一杯の事をすることが布施にあたります。
持戒(じかい)
戒めを守り身を慎む修行です。
代表的な戒には、「五戒」や「十戒」があります。
忍辱(にんにく)
忍の心を持つ修行です。
自分を取り巻く環境や人などすべてのことに対して、寛容に対応できる心を持つことが出来るようになります。
精進(しょうじん)
なまけ心を捨て、まっすぐな心で修行を行うことです。
精進するというと、努力するとか頑張るというふうに捉えがちですが、1つの目標に向かってただひたすらに努力する事を言います。
禅定(ぜんじょう)
静かな落ち着いた心で、世の中のことをじっくりと見て考える修行です。
世の中の事象を落ち着いてじっくり考えることで、その本質が見えてくるようになります。
智慧(ちえ)
弱い心や迷いを断ち、真理を悟るまたは見極める修行です。
物事の本質を見抜く力を持つことで、そのことに対し、正しい対処をすることが出来るようになります。
六波羅蜜の修行についてもっと詳しく知りたい!という場合は、こちらに解りやすく書かれていますのでご覧ください。
⇒ 「悟りへの道「六波羅蜜」」
最後に・・・
お彼岸だから、お墓参りに行かないと!!
普段の生活でのお彼岸は、こういった感じかもしれません。
お彼岸は、お盆と違って先祖の霊が戻ってくるということはありませんが、彼岸と此岸が最も近くなる時期と言われています。
ご先祖様を弔うだけでなく、自身が彼岸に到達するために修行をする期間でもあるというお彼岸本来の意味を、頭の片隅に留め置きていただけたらと・・・。
≪参考≫
彼岸会(ひがんえ)/ 曹洞宗 公式サイト・曹洞宗ネット
彼岸について / 正敬寺 浄土真宗本願寺派西照山
波羅蜜 / 飛不動 龍光山正寶院
悟りへの道「六波羅蜜」 / 養老山立國寺 出世観音
お彼岸とはどういう意味?由来やお盆との違いを解説 / お坊さん便
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