暦の暦注のひとつに、六曜があります。
なんだそれ?と思った、そこのあなた!!
大安とか仏滅、はたまた友引をご存じではありませんか?
結婚式をするなら、大安の日がいいよね!
葬式の日取りは、友引がだめだから・・・
なんか嫌な事が多いと思ったら、今日は仏滅だった(汗;
こんな言葉を、いつかどこかで耳にしているのではないでしょうか。
大安や友引そして仏滅も、それぞれが六曜のひとつです。
六曜は、その日の吉凶を判断する手段のひとつとして定着しています。
ただ、どうでしょう?
大安はいい日で仏滅は良くない日というイメージがあるだけで、その意味は?と聞かれたら、はっきりとは答えられないというのが本当のところではないでしょうか。
今回は、そんな六曜についてお届けいたします。
六曜とは?
六曜は、「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」という六つの星を指すものです。
星ですか???と思ったかもしれませんが、六曜は「六曜星」が略されたもので、「六輝(六輝星)」や「孔明六曜」とも呼ばれています。
ちなみに、六曜は「ろくよう」と読まれているかと思いますが、正式には「りくよう」と読みます。
六曜の起源
六曜は、中国で生まれたものであることに違いはないのですが、その起源は定かではありません。
当初は、七曜(月・火・水・木・金・土・日)と同じように日を刻むための符号だったものが、時とともに神格化されて、それぞれに吉凶が付け加えられたのではないかと考えられています。
日本に伝わってきたものは、中国において「六壬時課」や「小六壬」と呼ばれた時刻の吉凶占いで、その時期は鎌倉時代末期から室町時代にかけてだろうと考えられています。
これらが日本に伝わってから暫くは、中国式のまま利用されていましたが、時の流れと共に日本式の占いへと変化していきます。
中国から伝わった時刻の吉凶占いは、日の吉凶占いへと変化し、区別するために「六曜」という名称が生まれました。
また、現在の六曜のなかで「大安」と「赤口」を除いては、日本独自の名称に変更されたものとなっています。
が・・・
日本式の六曜が、いつ頃誰によって考案されたのかは、未だ解明されておりません。
ただ幾度かの変遷を経て、現在の形になったのは、19世紀初頭(※)だろうと考えられています。
※享和(1801~1804)~文化(1805~)にかけて
不思議なのは、六曜が暦の暦注に記載されるようになったのは江戸時代の終わり頃からということです。
なぜ、もっと早くから暦注として記載されなかったのかは、定かではありませんが、新暦への改編が六曜を定着させる要因となったのだろうという説があります。
それは、六曜が規則正しく繰り返して日付に付されるものであることから、特に専門的な知識も必要なく扱いやすいものだった事がひとつ。
もう一つは、新暦旧暦のズレが生じなかった事が大きな理由としてあげられています。
六曜の日取り
六曜の日取りは、基本的に「先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口」の順で繰り返されますが、月によって最初の六曜が変更されます。
- 正月・七月の朔日を先勝とする
- 二月・八月の朔日を友引とする
- 三月・九月の朔日を先負とする
- 四月・十月の朔日を仏滅とする
- 五月・十一月の朔日を大安とする
- 六月・十二月の朔日を赤口とする
といった具合ですが、ここでの月は旧暦となりますのでご注意ください。
※朔日:月の初めの日
六曜の意味は?読み方は?
大安は日取りのいい日だけど、仏滅はあまり良くない日^ ^;
普段は、こんなイメージで六曜を利用しているかもしれませんが、他の4つはどうですか?
また、六曜の名称(先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口)は、様々な読み方を持つものもあります。
自分はこう読んでいたけれど、別の読み方をしている人もいるし・・・という経験はありませんか?
実のところ、複数の読み方があるものは、どの読み方であっても間違いではありません。
紛らわしいと言われてしまえば、それまでですが(汗;
そんなわけで、六曜それぞれの意味(どういった日をさしているのか)と、その読み方をまとめました!
解釈には、個人的な意見も入っていますので、そのあたりはあらかじめご了承ください。
先勝の読み方と意味
◎読み方
せんかち・せんしょう・さきがち
先勝は、「先んずればすなわち勝つ」という意味を持っています。
万事に急ぐことが良いとされ、訴訟など、交渉事に向いている日とされています。
そうはいっても、実際問題、何でも急げばいいというものでもありません。
ここは先手を打った方がいい!
そんな場合は、この日にアクションを起こすとうまくいくでしょう。
この程度のスタンスで捉えておくといいのかな?と感じます。
先勝の日の吉凶は、午前中は吉で午後悪し(凶)です。
幕末の暦注には、八つより暮れ六つまで悪しと、具体的な時間が書かれていました。
今の時間にあてはめると、午後2時~6時となります。
友引の読み方と意味
◎読み方
ともびき・ゆういん
友引には、「凶事に友を引く、凶禍が友に及ぶ」という意味があります。
※凶禍=わざわい
葬式は、(亡くなった人が友達をあの世に引っ張るから)友引を避けたほうがいいとは、よく聞く話ではないでしょうか。
友引の日は、俗にいう縁起の悪いことは避けた方がいいけれど、縁起のいいことを行うのにはいい日という感覚は、なんとなくでも持ち合わせているかと思います。
ただ、古い時代の暦注には「勝負なき日と知るべし」と記されており、何事においても引き分けで勝負のつかない日とされていました。
当時は「友を引く」ではなく、「共に引き合う」という意味があったのでしょう。
その記載も、「共引」だったそうです。
友引が今のような意味を持つようになったのは、陰陽道の「友引日」「友曳方」という考え方が「友引」と混同されたためと考えられています。
友引日は、ある日ある方向に事を行うと凶禍が友に及ぶとする日で、友曳方はその方向を指します。
中でも特に忌み嫌われたのが、友曳方に向かって葬儀をすることでした。
友引の日の吉凶は、朝晩は吉で正午だけは凶となっていますが、暦によって夕方は大吉としているものもあります。
先負の読み方と意味
◎読み方
せんまけ・せんぷ・せんぶ・さきまけ
先負には「先んずればすなわち負ける」という意味があり、先勝と相対する日となっています。
急用ごとや勝負事は避け、控えめにして、相手が仕掛けてくるのを待つのがいいとされる日です。
ただ先負も、元をたどれば大安に次ぐ吉日とされていた日で、呼び方も「小吉」「周吉」と、今とは別のものでした。
先負の日の吉凶は、朝から晩までは凶、昼過ぎから日暮れまでは吉となっています。
先勝と対比するために、同時代の暦の記載を確認したところ、吉の時間は「午の刻より酉の刻までよし」とありました。
現在の時刻でいうと、おおよそ午後0時~6時となります。
仏滅の読み方と意味
◎読み方
ぶつめつ
仏滅には、「仏も滅亡するような最悪の日」という意味があります。
六曜の中での大凶日で、何事もうまくいかない大悪日ということから、祝事、法事など万事に凶となっています。
また、この日に病むと長引くともされていますし、移転や開店も忌み禁じられている事です。
仏滅も、友引などと同じように、六曜が日本独自のものとなる過程で呼び方や意味が変わってきたものになります。
元々は「空亡」「虚妄」と言われ、すべてがむなしいという意味に訳されていたものが「物滅」となり、それが転じて「仏滅」となったということです。
大安の読み方と意味
◎読み方
たいあん・だいあん
大安には、「大いに安し」という意味があり、大安吉日とも呼ばれます。
大変めでたい日とされ、万事において吉となっているだけでなく、凶の時間帯がありません。
現在では、結婚式の日取りとして好まれています。
これは、凶の時間帯が無いことから、時間を要する行事も安心して行えるために定着したものだと考えられています。
たったひとつ、注意して欲しい事があります。
大安は六曜のなかでもっとも日の良い日ではありますが、その日が必ずしも「大吉」だとは限りませんので、混同されませんようにお願いいたします。
赤口の読み方と意味
◎読み方
しゃっく・じゃっく・じゃっこう・しゃっこう・せきぐち
赤口だけは、かなり特殊といいますか・・・
日本に六曜が伝わってから、何一つとして変化することが無かったものになります。
赤口は、陰陽道の赤口日という凶日からきています。
陰陽道においては、赤口神(大祭神の王都における東門の番神)が八鬼の鬼神を使役して、八日周期で門を護らせているとされています。
※大祭神=陰陽道における八将神(8人の方位神)のひとり
中でも、四番目に使役する八嶽卒神(はちごくそつしん・はちごくそっしん)は八面八臂の凶神であることから、八嶽卒神が門を護る日を赤口日として凶日とされました。
その意味は?と行きたいところではありますが、赤口だけは日本独自の変化がないため、その意味付けもなされていません。
赤口の日の吉凶は、丑の刻(午前1時~3時頃)だけが吉で、朝夕は凶、特に祝い事には大凶となっています。
加えて、赤口の「赤」から連想する「血や火」に繋がることも凶とされているため
- 火の基に気をつけなくてはいけない日
- 大工や板前など、刃物を使う人達には特に要注意の日
となっています。
最後に・・・
普段はさほど気にならなくとも、結婚や葬式、引越しなど何かしらの節目を迎える日になると、なんとなく気になるのが六曜だったりします。
ここでは書きませんでしたが、六曜にはその日に行う事の向き不向きが存在していることは確かです。
ただ、六曜はあくまで日の吉凶占いですので、それに囚われ過ぎるのもどうかな?と、思うところもあります。
とはいえ、日本に住む人々は、遠い昔から縁起担ぎが好きなようです。
それぞれの状況に応じて、六曜をうまく利用するに越したことはないかなと・・・。
《参考》
現代こよみ読み解き事典 / 岡田芳朗 阿久根末忠 編著
日本の暦 / 岡田芳朗著
暦と日本人88の謎 / 武田櫂太郎著
コメント