梅雨明けと共にじめじめした暑い夏が始まる7月の京都。
ちょうどこの時期に「祇園祭」が行われます。
祇園祭というと「山鉾巡行」や「宵山」を
イメージする方が多いと思いますが
実は、7月の1ヶ月間を通して
日々何かしらの神事や行事が行われています。
1ヶ月続くお祭りの日程は
ここ48年間、毎年同じように進められてきました。
が・・・
2014(平成26)年の祇園祭から
一部変更されることになりました。
その理由は・・・
後祭(あとまつり)の復活!
2014(平成26)年の祇園祭において
49年ぶりに後祭が復活するため、
祇園祭後半の日程が昨年までとは違ったものになります。
山鉾巡行の歩み
古来祇園祭では、神事の中心となる
7月17日の神幸祭(しんこうさい)と
7月24日の還幸祭(かんこうさい)にあわせて
2回の山鉾巡行が行われていました。
17日の山鉾巡行を前祭(さきまつり)といい
24日の山鉾巡行を後祭(あとまつり)といいました。
それが、1966(昭和41)年より、7月17日の1回に統合されます。
交通規制などの交通事情やかかる費用に加え、
観光客の方々から
山鉾を一度に見たいという希望があった事が
統合された理由です。
以来、2013(平成25)年までの48年間
山鉾巡行は、7月17日の1回だけ行われてきました。
さて・・・
長年行われていなかった後祭ですが
なぜ?今年の復活となったのでしょう?
後祭復活の理由
後祭復活の理由は
「1000年以上続く祇園祭の本来の形を、正しく後世に残すため」 です。
でも・・・
それであれば、
今年、2014(平成26)年でなくともいいのでは?
と、思う方もいらっしゃるかと思います。
そう思う気持ちも解ります。
ただ、今年の祇園祭は、新たに復活する山鉾があるため
それに合わせて後祭を復活させよう!という流れが起きました。
復活する山鉾は
「大船鉾(おおふねほこ)」といい
実に、150年振りの復活となります。
大船鉾は、多くの山鉾に被害をもたらした
禁門(蛤御門)の変の大火で
焼失した山鉾の1つです。
150年という歳月を経て1基の山鉾が復活する年に
祇園祭が本来の姿を取り戻します。
長い歴史と共に、
山鉾巡行を愛する京の人々の熱意を感じずにはいられません。
祇園祭の日程 2014(平成26)年版
それでは、祇園祭の主な日程を御案内いたします。
記載は、日にち・行事名・開催場所と
その下段に簡単な説明を加えています。
1日~5日 吉符入り(きっぷいり) 各山鉾町
祇園祭最初の神事です。
関係者が町会所に集まり、
祭り当番の決定をはじめ、さまざまな打合せを行います。
1日 長刀鉾町お千度 八坂神社
町内の稚児係りが、稚児、禿(かむろ)を伴って八坂神社に参拝し、
祭期間中の無事を祈ります。
2日 くじ取り式 京都市議会議場
山鉾の巡行順序をくじ引きによって決めます。
山鉾町社参 八坂神社
くじ取り式を終えた各山鉾町の代表者が
八坂神社に参拝し、お祭りが無事に済むことを祈ります。
3日 神面(しんめん)改め 船鉾町町会所(下京区)
鉾の祭神・神功皇后像の付ける神面の無事を確認します。
7日 綾傘鉾(あやがさほこ)稚児参社 八坂神社
綾傘鉾の稚児が八坂神社に参社して、巡行の無事などを祈ります。
10日~13日 前祭山鉾建て 各山鉾町
解体し収納されていた山・鉾を組み上げて懸装を施します。
10日 お迎え提灯 氏子区内
「神輿洗」の神輿を迎えるため、万灯会員有志が提灯を立てて
八坂神社周辺地域を巡行します。
神輿洗 八坂神社~四条大橋
八坂神社舞殿に神輿3基を据えた後、
その中の1基(中御座)を四条大橋まで担ぎ清める儀式を行います。
その後八坂神社に戻り、17日の神輿渡御(みこしとぎょ)に備えて
3基の神輿を飾り付けます。
12日~13日 鉾・山の引き初め 四条通・室町通・新町通
「エンヤラヤ」の掛け声と共に
本番さながらの試し曳きが行われます。
13日 長刀鉾稚児社参 八坂神社
長刀鉾稚児が騎馬に乗り八坂神社に詣でて、お位を授かります。
それ以降、稚児は17日の巡行まで身を慎む生活をします。
長刀鉾巡行の際は、正面に乗り、太平の舞を舞います。
久世駒形稚児社参 八坂神社
17日の神幸祭、24日の還幸祭に供奉をする
駒形稚児の社参が行われます。
14日~16日 前祭:宵々々山・宵々山・宵山 各町内(中央区一帯)
山鉾に釣られた提灯に灯が入り
祭のお囃子と共に祇園祭を盛り上げます。
この3日間は、出店や夜店が立ち並びます。
16日 宵宮神賑奉納神事(よいみやしんしんほうのうしんじ) 八坂神社
八坂神社の大神さまに、伝統芸能を奉納します。
日和神楽 山鉾町~四条御旅所
各山鉾町のお囃子方が、
お囃子を奏でながら四条寺町の御旅所へ出向き
山鉾巡行の日の晴天を祈ります。
17日 山鉾巡行 各町内(中央区一帯)
長刀鉾を先頭に、23基の山鉾が京都の中心部を巡行します。
神幸祭(しんこうさい)(神輿渡御) 八坂神社~四条御旅所
八坂神社神殿に安置された3基の神輿が、
四条御旅所までの、それぞれ決まったコースを渡御します。
神輿は、7日間(24日の還幸祭まで)四条御旅所に留まります。
18日~20日 後祭山鉾建て 各山鉾町
20日 鉾・曳山の引き始め 新町通
舁山(かきやま)の引き始め 蛸薬師通
21日~23日 後祭:宵々々山、宵々山、宵山 各町内
24日 後祭:山鉾巡行
10基の山鉾が巡行します。
花傘巡行 八坂神社~市役所前~八坂神社
花傘巡行は、山鉾巡行が1つに統合されたあと、
後祭の代わりに始まったものです。
傘鉾十余基、馬長稚児、児武者等が決まったコースを巡行した後
八坂神社にて舞踊などの奉納を行います。
還幸祭(かんこうさい)(神輿渡御) 四条御旅所~八坂神社
四条御旅所に7日間留まっていた3基の神輿が
途中、三条御供社で祭典を行い、
八坂神社へ還り舞殿へ安置されます。
28日 神輿洗 八坂神社(四条大橋)
八坂神社舞殿に神輿3基を据えた後、
その中の1基(中御座)を四条大橋まで担ぎ清める儀式を行います。
八坂神社に戻ると、神輿は神輿庫に収められます。
29日 神事済奉告祭(しんじずみほうこくさい) 八坂神社
祇園祭が無事に終了したことを神前に報告すると共に
神の恩恵に感謝します。
31日 疫神社夏越祭(えきじんじゃなごしさい) 八坂神社境内疫神社
参拝者が「疫神社」の鳥居に設けた大茅輪をくぐって
厄気を祓い、護符を授かります。
後祭の復興が決まった時、
花傘巡行がなくなるのでは?
という心配の声があがりましたが
復興後も、変わらず継続されることが
決定しています。
花傘巡行を残したままでの
後祭の復活は
新たな祇園祭の歴史の始まり
といってもいいのではないでしょうか。
コメント