梅雨の時期とはいえ、どこか初夏の訪れを思わせる頃・・・
東北は盛岡の地において、華やかな装束を付けた馬たちが15kmもの道のりを行進するチャグチャグ馬コというお祭りが行われます。
チャグチャグ馬コ!ご存知でしょうか?
日本のお祭りは、神社の例大祭というものがほとんどですから、何かしら人の事に関わる神様を祀っています。
でも、このお祭りの主役は馬ですし、神様も馬の神様です。
どうして、この地において馬が主役のお祭りが生まれたのでしょう。
それに、チャグチャグ馬コという名前も、なぜチャグチャグ?と、思わずにはいられません。
そんなチャグチャグ馬コの歴史と、今年(2021年)の開催日程等を併せてお届けいたします。
どうぞ最後までお付き合いください。
チャグチャグ馬コの歴史
東北は、古くから、有数の良馬産地として知られていました。
中でも、岩手県は「南部駒」という優良馬の産地でした。
馬についてみてみると、戦国の世には軍馬として、その後は農耕馬というふうに、昔から人とは深いつながりを持っています。
特に、農業においての馬は欠くことの出来ない労力でもありましたから、人々は馬に家族同様の愛情を注ぐようになったのです。
もちろん、岩手の人々も類には漏れず・・・
今に伝わる南部曲り屋が、そのことを証明しています。
※南部曲り屋:馬と人が一つ屋根の下で暮らすように造られた家
そして、馬を大切に思う気持ちが深いからこそ、当たり前のように、馬の神様への信仰心も生まれたのでしょう。
チャグチャグ馬コの出発点は、鬼越蒼前神社です。
※鬼越蒼前神社は駒形神社とも呼ばれます。
この神社には、農業の神・馬の守り神として、男子騎馬像の蒼前様が祀られています。
農民が、農業で体を酷使している馬体の安全を祈って蒼前様を詣でた蒼前詣が、チャグチャグ馬コの起源と言われています。
鬼越蒼前神社の祭礼は、元々、旧暦5月5日に行われていました。
当初は、田植前の忙しい時期に当たっていたこともあり、この日だけは仕事を休み神社の境内で1日を過ごすという風習が生まれたのだそうです。
蒼前詣がいつから行われていたのかは不明ですが、おおよそ江戸時代の初期と考えられています。
時が過ぎ、明治時代になると、チャグチャグ馬コは一時的に衰退します。
が・・・
明治20年代には、復活しています。
※明治20年代:西暦1987年~1896年
これは、戦争(日清戦争・日露戦争)により軍馬の需要が伸びたことが大きな要因です。
当時のチャグチャグ馬コは、1000頭ほどの馬が参拝したこともあったそうです。
第二次世界大戦が始まると、軍馬の需要は益々増えていきます。
すると、強い馬はどんどん戦地へと送られていきました。
ということは?
なんとなく察しがつくとは思いますが、馬がいなくなり、お祭りどころではありません!
そんなわけで、戦時中、暫くの間は中止されていました。
チャグチャグ馬コが再び復活したのは、1945(昭和20)年になります。
この時は30頭ほどのパレードだったそうで、本格的な復活は、1951(昭和26)年からとされています。
また、時代の流れとともに農作業の時期も、少しずつずれてきたのでしょう。
1955(昭和30)年になると、旧暦5月5日が田植えの時期で忙しくなることから、例祭の日にちが新暦6月15日に変更されます。
その後、2001(平成13)年より6月の第2土曜日に行われるようになりました。
チャグチャグってなに?
「チャグチャグ馬コ」というお祭りの名前を聞いて、チャグチャグってなに?と、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このなぞを解くカギは、馬が付けている衣装にあります。
チャグチャグ馬コに参加する馬は、小荷駄馬装束という衣装を着けています。
この衣装は、参勤交代で荷物を運んだ馬部隊の装束に由来しているものです。
詳しく知りたい場合は、こちらをご覧ください。
⇒「チャグチャグ馬コの装束は誰が決めたの?」
その衣装のパーツに、ドーナツ型をした金属で出来ている鳴輪というものがあります。
※鳴輪:山を歩く時の熊や狼除けにつけられたものと言われています。
さらに、衣装そのものには、大小700個もの鈴が付けられています。
言うまでもなく、馬が歩みを進める度に鳴輪と鈴は音を奏でるわけで・・・チャグチャグは、その音を言葉で表したものになります。
チャグチャグ馬コ 2023年開催日程!
さぁて、お待たせいたしました。
ここからは、チャグチャグ馬コ2023年の日程等、開催情報をお届けいたします。
チャグチャグ馬コは、毎年6月の第2土曜日に行われていますので、2023年は6月10日(土)の開催です。
当日は、朝早くから着飾った馬コとその家族が、鬼越蒼前神社に集まってきます。
なぜかというと、行列の出発前に馬コと家族が一緒になって、人馬の無病息災、家内安全、五穀豊穣などを祈願するからです。
チャグチャグ馬コの巡行路は?
チャグチャグ馬コは、例年であれば鬼越蒼前神社から盛岡八幡宮までの約15kmを練り歩くのですが、今年はコースの変更があり約14kmと少な目になっています。
主な通過点と通過予定時刻は、以下の通りです。
- 鬼越蒼前神社 9:30発
- 滝沢市役所前 10:05
- 滝沢ニュータウン南側交差点 10:25
- 盛岡少年院前 10:45
- 青山町盛岡ふれあい履馬場プラザ前通り
11:10着 11:40発 - 天昌寺交差点 12:05
- 館坂交差点 12:20
- 夕顔瀬橋 12:35
- 材木町商店街 12:40着 13:00発
- 旭橋 13:05
- 盛岡駅 13:10
- 開運橋 13:15
- 大通り三丁目 13:20
- 大通り一丁目 13:30
- 櫻山神社 13:35
- 中の橋 13:40
- もりおか啄木・賢治青春館 13:45
- 盛岡八幡宮 13:50
詳しい巡行路は、こちらから地図でご覧いただく事ができます。
⇒ 「チャグチャグ馬コ 進行案内図」
鬼越蒼前神社周辺のルートは、こちらでどうぞ。
⇒「チャグチャグ馬コ出発地 鬼越蒼前神社周辺マップ」
チャグチャグ馬コへのアクセス
ここでは、チャグチャグ馬コの出発点となる鬼越蒼前神社までのアクセスをご案内いたします。
※チャグチャグ馬コ開催時の駐車場も一緒に載っています。
JRでお越しの場合
◎東北新幹線「JR盛岡駅」→ タクシー 約20分
◎東北新幹線「JR盛岡駅」
→ バスターミナル9番乗り場「滝沢営業所行」(岩手交通)→ 「滝沢鵜飼」下車 徒歩約20分
◎東北新幹線「JR盛岡駅」→無料シャトルバス 約35分
車でお越しの場合
◎東北縦貫自動車道「盛岡I.C」~ 県道223号線 ~ 県道16号線 約15分
駐車場はあるの?
残念ながら、鬼越蒼前神社には駐車場がございません。
お祭り当日には
- 滝沢市役所(青)
- ビッグルーフ滝沢駐車場(緑)
- 滝沢総合公園体育館駐車場(紫)
を、ご利用ください。
※各駐車場の場所は、上記地図にてご確認ください。カッコ内の色が、地図上のアイコン色になります。
なお無料シャトルバスが、「盛岡駅~ビックルーフ滝沢~鬼越蒼前神社」のルートで運行されます。
※タイムスケジュールは、「チャグチャグ馬コ 進行案内図」に記載されています。
盛岡市内の駐車場について
チャグチャグ馬コの巡行路から近い主な駐車場を、以下の地図にまとめました。
※地図内アイコンの色が以下カッコ書きの色になります。
◎内丸・市役所近辺(紺)
岩手公園地下駐車場(収容数:93台 料金:30分150円)
マルフジ内丸駐車場(収容数:100台 料金:20分100円)
岩手酒類卸駐車場(収容数:60台 料金:30分100円)
◎中央通近辺(赤)
金田一駐車場(収容数:242台 料金:1時間200円)
◎大通り周辺(オレンジ)
MOSSパーキング(収容数:268台 料金:20分100円)
喜の字パーキング(収容数:45台 料金:20分100円)
◎盛岡駅周辺(紫)
ジャスター盛岡駅南口有料駐車場
(収容数:30台 料金:50分100円、最大24h500円)
交通規制について
チャグチャグ馬コでは、行列の巡行に合わせ、各所で交通規制が行われます。
大まかな場所と時間帯は、先にもご案内いたしました巡行路図に乗っています。
⇒ 「チャグチャグ馬コ 進行案内図」
大々的に交通規制が行われるのは、鬼越蒼前神社付近になりますが、一部片側通行になる道路がありますので、地図にてご確認いただければと思います。
最後に・・・
綺麗に着飾った100頭近くもの馬が列をなし、約15kmもの道のりを練り歩くチャグチャグ馬コ。
その背には、女性や子供を乗せていますし、アスファルトがほとんどの道のりです。
正直、馬もさぞかし難儀だろうなぁ~と思いつつ、この記事を書いていました。
そして、もうひとつ。
馬は神経がとても細やかな生き物ですから、見ている人の大きな声や、写真のフラッシュにも敏感に反応します。
主催者側からは、ドローン使用禁止の願いも出されています。
また、馬に触ろうと後から近づくと、蹴られてしまう事もあるそうです。
お祭りだからと騒ぐだけではなく、観る側も節度をもって観覧していただけたらと・・・。
≪参考≫
チャグチャグ馬コ / 盛岡観光情報
馬と人インタビュー 第3回 藤倉孝作 / 馬と人
チャグチャグ馬コ / 岩手県滝沢市
コメント
2017年開催日の日付、間違ってますよ。
平柳様
こんにちは。
ご指摘ありがとうございました。
今年6月の第二土曜日は10日でしたね(汗;
記事も、修正いたしました。
カレンダーを見たはずなのに・・・
なんともお恥ずかしいニアミスです。
大変助かりました。
こんにちは。まさか返信をいただくとは思わずぶっきらぼうなコメントを送りっぱなしで失礼しました。去年は、パレード当日があいにくの雨で、途中、西警察署の前で見物してから盛岡八幡宮へ行くのを断念して、新幹線で(埼玉)へ帰りましたが、今年(2018年)は何とか無難な天候で、八幡宮で一行を迎えることができました。来年も予算と時間が確保できたら滝沢市と盛岡を訪ねて行きたいと思います。地元の人の話だと、年々馬の確保が難しくなっているとのこと。何とか世間にイベントの素晴らしさを周知して末永く続いてほしいと思っています。
平柳さん
こんばんは。
コメントありがとうございます^ ^
今年は、思ったように、チャグチャグ馬コを楽しんでいただけたようで良かったです。
馬の確保はそうですねぇ~。
考えてみると、昔のように馬の力に頼って作業をするということが
減ってきているでしょうから、苦しい部分が出てきてるのかもしれないですね。
でも、本当に、賑々しい祭りだけではなく、こういった生活密着型とでもいいましょうか
古い時代の生活から生まれた祭りは、歴史と共に受け継がれていってほしいと私も思います。
1年ぶりに、戻ってきていただいて、とてもうれしかったです。
ありがとうございました。