北国では、まだまだ寒い日の続く3月・・・
宮城県塩釜市にある鹽竈神社において、地元の人々から春を呼ぶ祭りとも称される「帆手祭」が行われます。
300年以上の歴史を持つ帆手祭は、日本三大荒神輿の一つにも数えられている祭りです。
※日本三大荒神輿:塩釜市「帆手祭」、姫路市「灘のけんか祭」、松山市「北条鹿島まつり」
鹽竈神社帆手祭の由来とは?
帆手祭の始まりは、天和2(1682)年とされています。
この年に塩釜では大火があったため、港に入港する船が少なくなり街も衰退していました。
そんな中、火災の鎮圧と景気回復を塩竃様に祈って始められた火伏の祭が帆手祭となり、現在も受け継がれているものとなります。
鹽竈神社の帆手祭にはどんな歴史があるの?
祭りが始まった当時、鹽竈神社内で一般の人が立ち入ることが出来たのは唐門まででしたが、祭日に限って若者(伜)だけは唐門より中に入れたもらう許可が出ていたのだそうです。
そこで、祭りの中心となったのが若者だったこともあり「伜まつり」という名称で、天和2(1682)年正月20日に始められました。
※正月20日は、1月20日(旧暦)のことです。
この時はまだ神輿が無く、梵天(リュウノヒゲを束ね棒の先に附けたもの)を持って町中を練り歩いたとされています。
ただ、伜まつりが3回目を迎えようとしていた天和4(1684)年になると、お代官様から「伜まつりを毎年行うのは贅沢だ」というおふれが出たために、祭りは一時中止となりました。
ただ、どうしたものなのか?不思議なことに、この年にまた大火に見舞われたのです!
そのおかげでと言ってはなんなのですが、ご想像の通り「伜まつり」は復活しました。
復活後の催行日は、以前の正月20日から正月28日に移行されています。
復活してからの伜まつりは、年々華やかになっていきました。
現在の神輿ができたのは、享保18(1733)年のことです。
言うまでもなく、この時から神輿町内渡御が行われるようになりました。
しばらくの間、大きな変更もなく行われてきた伜まつりですが、明治5(1872)年に「帆手祭」へと名称が変更されます。
同時に、祭りの催行日も3月10日へと変更され現在に至ります。
また、古くから受け継がれている祭りは、多くが戦時中の中止を余儀なくされていますが、この帆手祭は戦時中も含め一度も中止することなく行われてきたということです。
これには、筆者も驚かされました。
帆手祭という名前の由来
始まった当初は「伜まつり」という名称だった「帆手祭」ですが、なぜ今の名称になったのか?その理由は、定かではありません。
鹽竈神社の歳時記によると、
- 伜まつりの際に、伜が梵天をもって歩いた「梵天祭」から来ている
- 塩竃の入り江(現在の御釜神社鎮座地付近)を甫出の浜と呼んだ所から来ている
という説があるそうです。
帆手祭!2024年開催情報と見どころ
ここからは、帆手祭の情報をお届けいたします。
帆手祭2024年の日程
帆手祭は毎年3月10日に行われますから、2024(令和6)年の帆手祭は3月10日(日)です。
当日の日程は、
- 10:00~ 本殿祭
- 11:00~ 発輿祭
- 11:30 神輿御出発
- 19:00 表坂下還御
となります。
神輿渡御の順路は、こちらからご確認ください。
⇒「帆手祭御神輿順路図」
鹽竈神社へのアクセス
まずは、鹽竈神社の場所を地図でご確認ください。
電車をご利用の場合
「JR仙台駅」(仙石線・約30分)⇒「JR本塩釜駅」
- 表参道(表坂)の石鳥居まで徒歩約15分
- 東参道(裏坂)の石鳥居まで徒歩7分
- 社務所前まで徒歩で約15分、タクシーで5分
車をご利用の場合
車を利用する場合は、とても多くのパターンが考えられますので、ここでは鹽竈神社へ行くために利用するだろう有料道路「IC」から通常時の最短時間ルートでのご案内とさせていただきます。
- 東北自動車道「冨谷JCT」⇒ 仙台北部道路(R47~三陸自動車道)⇒ 三陸自動車道「利府塩釜IC」⇒ 県道3号(約23分)
※三陸自動車道「利府塩釜IC」からは約10分 - 三陸自動車道「利府中IC」⇒ 県道3号(約10分)
- 仙台東部道路「仙台港北IC」⇒ 国道45号線 ⇒ 県道35号線(約11分)
飛行機をご利用の場合
仙台空港アクセス鉄道「仙台空港駅」(約10分)⇒「JR仙台駅」(仙石線・約30分)⇒「JR本塩釜駅」
本塩釜駅から鹽竈神社までは、電車利用の場合と同様です。
鹽竈神社に駐車場はあるの?
鹽竈神社(同じ境内にある志波彦神社と共有)には、第一~第三の無料駐車場があります。
※この他に、バス(大型車)駐車場も設けられています。
駐車場全ての収容台数は300台で、駐車場から表参道下までは、おおよそ徒歩10分程度かかります。
当然ですが、帆手祭当日は駐車場も込み合うわけで・・・
警備員さんが空いている駐車場に誘導はしてはくれますが、早めにおこしになって駐車場を確保することをお勧めいたします。
ちなみに、帆手祭当日に比較的停めやすいのは第三駐車場です。
駐車場の場所や具体的な画像を掲載しているブログがありましたので、ご紹介いたします。
「宮城県鹽竈神社(しおがまじんじゃ)志波彦神社(しわひこじんじゃ)の駐車場」
帆手祭の見どころは?
帆手祭一番の見どころは、鹽竈神社から町内渡御へと出発する神輿が表坂(通称:男坂)を下る場面だということは、あちらこちらで紹介されている通りです。
鹽竈神社の参道である表坂はとても急で、202段の階段からなっています。
そんな表坂に雅楽が響き渡る中、16人の担ぎ手が重さ約1tもある神輿を担いで、一歩一歩進んでいきます。
こちらは、神輿が出発する際の様子です。
「精神統一!」の掛け声に、こちらまで身が引き締まる思いがします。
きっと、それほど気を引き締めていないと、大変な事になるのだと思わずにはいられませんでした。
表坂を下っている様子は、こちらの動画でご覧ください。
この後、神輿は町内渡御を経て、再び表坂に戻って来るのが19時です。
すでに日が落ちて暗くなっている中を、提灯の明かりを先頭にした神輿行列は、多くの人が連なり神輿を押し上げるようにして階段を上っていきます。
無事に坂を上り終え、神輿が神社に到着すると三本締めを行って祭りは終焉を迎えます。
ところで、なぜ神輿が表坂を下る場面が帆手祭一番の見どころなのでしょう?
表坂を上る場面も、暗い道を参道に灯された光と提灯の明かりだけで進む神輿は、出発の時とはまた別の魅力があります。
なんでかなぁ~?と、個人的に想像してみました。
普段の生活で一人では持てないものを数人で運ぶ時、それが二階から一階までと一階から二階までだとしたら、前者の方が大変だと思いませんか?
しかも、動画にある通りなのですが、担ぎ手の数は表坂を下る時の方がはるかに少ないわけです。
他の祭りでも1tの神輿を担ぐことはありますが、下り坂で階段しかも担ぎ手が16人だけという条件が重なることは無いでしょう。
何度も帆手祭を見ている地元の方ですら、表坂を下る時は見ていてヒヤヒヤするそうです。
きっと、そのあたりが一番になっている所以なのかな?!と思ったところです。
そうそう!よく「表坂を一気に降りて・・・」という記載がありますが、それを読んで「勢い良く駆け下る」というイメージをお持ちでしたら、全く違うものですのであらかじめお伝えいたします。
帆手祭のついでに寄りたい塩釜の観光スポット!
せっかく塩釜まで来たんだから、帆手祭を見てすぐ帰るのでは物足りない!そんなあなたへ♪
おすすめスポットを3つ!個人的に勝手に選んでみました^ ^
塩釜水産物仲卸市場
塩釜は港町ですから、やっぱり新鮮な魚介類を味わって欲しいと思います。
それならお寿司もおいしいよね!という気持ちも解りますが、ここはちょっと形を変えて「海鮮丼」はいかがでしょうか?
塩釜水産物仲卸市場には「マイ海鮮丼コーナー」があり、場内で買ったお刺身を海鮮丼にして食べることができます。
※あらかじめお刺身として売られているパックもありますが、「さく」のものでもお店の人にお願いするとお刺身用に切ってもえらえたりもします。
どんぶりご飯とみそ汁がセットで400円!!
※プラス100円で、ご飯を大盛にすることができます。
買ってきたお刺身をどんぶりに盛り付ければ、自分好みのオリジナル海鮮丼が完成します。
こんな海鮮丼が食べたかったんだよぉ~!という、ひそかな夢が現実になりますよっwww!!
ご家族や友達同士でお刺身をシェアすれば、格安で豪華な海鮮丼を楽しむことが出来ます。
ただ、ここで気を付けて欲しいのが営業時間です。
市場の中にありますから、街中にある飲食店とは閉まる時間が異なります。
平日は6:30~12:00、土日祝日は6:30~13:00となっており、定休日は水曜日です。
詳細は、塩釜水産物仲卸市場HPへ! ⇒「塩釜水産物仲卸市場」
マリンゲート塩釜
帆手祭の後にお土産を!と思ったら、マリンゲート塩釜へどうぞ^ ^
地元の名産品やお菓子などを扱うお店が、軒を連ねています。
もちろん!カフェや飲食店もあります。
海を眺めながらのお食事やコーヒータイムなど、時にはゆったりした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
マリンゲート塩釜は、松島観光ができる遊覧船の発着所ともなっているのですが、いかんせん4月~11月の運行となっているため、帆手祭の頃には運行していないという残念なお話ですみませんm(_ _)m
もし機会があれば、桜の咲く頃に「鹽竈神社の桜+松島観光」というパターンもおススメです^ ^
マリンゲート塩釜のHPはこちらです。 ⇒「Marine Gate shiogama」
武田の笹かまぼこ
ご存知ですか?笹かまぼこ!
その名の通り、笹の葉の形をした蒲鉾です。
名産品のひとつですから、お土産に買って帰る方も多いかと思います。
※仙台市や石巻市など、笹かまぼこを扱うお店は多数あります。
どうしてこのお店をご紹介したかというと、鹽竈神社からそう遠くない場所にあることに加えて、工場見学はもちろんのこと笹かまぼこの焼き体験ができるからです。
笹かまぼこの焼き体験は、串に刺した焼き色の無い笹かまぼこを、自分の好みに焼いて焼き立てを食べることが出来るというものです。
できたて熱々の笹かまぼこは、なかなかお口に届くものではありませんから、産地ならではの体験になること間違いなしです!
なお、笹かまぼこの焼き体験は、事前予約(1週間前まで)が必要です。
※急な場合は、お電話(022-366-3355)にてお問合せください。
詳しくは ⇒ 「武田の笹かまぼこHP」
《参考》
歳時記 / 志波彦神社 鹽竈神社
コメント