赤ちゃんがお腹に宿った後から大人として成長するまでの間には、昔からある風習や祝い事が様々あります。
と言うよりは、「風習=祝い事」だったりもしますが・・・。
そういった祝い事は、赤ちゃんが誕生した後に行われるものが殆どです。
お宮参りや七五三・成人式など、思いつくお祝いはたくさんあるのではないでしょうか。
そんな中、まだ赤ちゃんがお腹にいる時に行う風習があります。
赤ちゃんが無事に産まれますようにと祈る安産祈願、そして帯祝いのふたつです。
ここでは、帯祝いをテーマとして、帯祝いの行われる戌の日についてはもちろんのこと、古くから用いられてきた晒の腹帯に変わる妊婦帯のタイプ別特徴などと、盛りだくさんの内容でお届けいたします。
帯祝いとは?
もしかしたら、「安産祈願は解るけど、帯祝いってなに?」と思っていたりはしませんか?
帯祝いは、着帯祝いとも言われます。
妊娠5ケ月目に訪れる最初の戌の日に、自宅で腹帯を巻いて妊娠を祝うと共に出産の無事を祈るものです。
着帯の儀式が終わった後には、妊娠を祝う祝宴が行われます。
古い時代・・・
儀式用の紅白二筋の絹地に、普段用の白木綿一筋を重ねた祝い帯は、お赤飯などを添えて贈られました。
両家の両親や仲人などを招き、子宝に恵まれている夫婦に「帯親」を頼んで帯をつけてもらったのです。
お日柄も慎重に選び、その年の恵方に向かって着帯を行うという風習もありました。
ちなみに、帯祝いは古事記にも記述がみられるほど、長きにわたって受け継がれている風習になります。
現代では、安産祈願の時に授かった帯をご主人やお母さんに巻いてもらう事が多くなっており、親類縁者を招いての御祝という形をとることは減ってきているようです。
戌の日に行うのはなぜ?
戌の日の戌は、犬です。
お産が軽く多産である犬にあやかって、出産の無事を願ったことに由来します。
というのも、今のように医療体制が整っていない時代には、無事に赤ちゃんを産むこと自体とても大変だったからです。
さらには、赤ちゃんを産んだ後に母親が死亡するケースも多くあった事があげられます。
戌の日はいつ?
現代においても、帯祝い(腹帯を巻くこと)は、昔と変わらず妊娠5ケ月目の最初の戌の日を選んで行われています。
戌の日は、六十干支が記されているカレンダーで解りますが、実際問題、記載のないカレンダーの方が多いかと思います。
そこで、2023年と2024年の戌の日を一覧表にまとめました。
おまけと言っては何ですが、その日の曜日と六曜も併せて記載しています。
2024年戌の日一覧表
月 | 日にち(曜日/六曜) |
---|---|
1月 | 11日(木/赤口)、23日(火/赤口) |
2月 | 4日(日/赤口)、16日(金/先勝)、28日(水/先勝) |
3月 | 11日(月/先負)、23日(土/先負) |
4月 | 4日(木/先負)、16日(火/仏滅)、28日(日/仏滅) |
5月 | 10日(金/赤口)、23日(水/赤口) |
6月 | 3日(月/赤口)、15日(土/友引) |
7月 | 9日(火/先負)、21日(日/先負) |
8月 | 2日(金/先負)、14日(水/大安)、26日(月/大安) |
9月 | 7日(土/赤口)、19日(木/赤口) |
10月 | 1日(火/赤口)、13日(日/先勝)、25日(金/先勝) |
11月 | 6日(水/先負)、18日(月/先負)、30日(土/先負) |
12月 | 12日(木/仏滅)、24日(火/仏滅) |
2025年戌の日一覧表
月 | 日にち(曜日/六曜) |
---|---|
1月 | 5日(日/大安)、17日(金/大安)、29日(水/先勝) |
2月 | 10日(月/先勝)、22日(土/先勝) |
3月 | 6日(木/友引)、18日(火/友引)、30(日/仏滅) |
4月 | 11日(金/仏滅)、23日(水/仏滅) |
5月 | 5日(月祝/大安)、17日(土/大安)、29日(木/先勝) |
6月 | 10日(火/先勝)、22日(日/先勝) |
7月 | 4日(金/先負)、16日(水/先負)、28日(月/先負) |
8月 | 9日(土/先負)、21日(水/先負) |
9月 | 2日(火/大安)、14日(日/大安)、26日(金/赤口) |
10月 | 8日(水/赤口)、20日(月/赤口) |
11月 | 1日(土/友引)、13日(木/友引)、25日(火/先負) |
12月 | 7日(日/先負)、19日(金/先負)、31日(水/仏滅) |
もし、一緒に記載してある六曜の吉凶が気になるようでしたら、こちらの記事にまとめていますのでご覧ください。
腹帯にはどんな役割があるの?
ところで、妊娠5ヶ月目を過ぎた頃に腹帯を巻くのはなぜ?といった、素朴な疑問はありませんか?
その理由は、大きく分けて2つあります。
-
母体への負担軽減
妊娠5ヶ月を過ぎるとお腹も大きくなり、腰や背中への負担が大きくなります。
そんなお腹を下からしっかり支えて、腰への負担を軽減するとともに体のバランスを安定させる役割があります。
-
下腹部の冷え予防と外部からの衝撃緩和
妊娠中における身体の冷えは、大敵です。
冷えが原因で、お腹が張ったり下痢が生じたり、肩こりや頭痛に見舞われることもあります。
さらには、母体が冷えると羊水も冷えてしまう事が原因で、逆子になり易いとも言われています。
とはいえ、夏は冷房の効いた部屋、冬の外出は寒い中に長くいることもあるでしょう。
腹帯には、身近にある冷えから下腹部を保温して守る役割があります。
また不意に何かにぶつかったなど、お腹に衝撃を与えることがあるかもしれません。
そんな時、腹帯というワンクッションがあれば、お腹に与える衝撃を緩和することができます。
腹帯の今昔
昔から伝わる正式な腹帯は、先にも書いたとおり紅白の絹二筋と白木綿一筋を重ねた「岩田帯」と呼ばれるものです。
ただ、岩田帯そのものは帯祝いの時に用いられるもので、普段は白木綿の腹帯を巻いていました。
「お腹が大きくなってきたら、さらしを巻くといい」というような言葉を聞いたことがありませんか?
この「さらし」は、白木綿のことです。
さらしを使った腹帯の巻き方を知りたい場合は、こちらが参考になります。
⇒「お腹帯の巻き方」
現代の腹帯事情
さて、腹帯は長い間さらしを利用してきたわけですが、今では「妊婦帯」や「マタニティーガードル(ベルト)」などと呼ばれるものが主流となっています。
その違いを簡単に説明するとすれば、腹帯は「巻く」ものから「穿く」もしくは「着ける」ものに移行したという事ができるでしょう。
様々な妊婦帯が登場したおかげで、妊婦さんの状態にあったものを選んで利用できるようになりました。
妊婦帯の種類とおすすめのシーン
市販されている妊婦帯は、いくつかの種類があります。
それぞれの特徴と併せて、こんな時期やこういうシーンに向いてるよ!というところを、以下にまとめます。
さらし帯タイプ
さらし生地を使用しているので、通気性や吸汗性に優れており、敏感肌の方にも安心です。
巻き加減を自分で調節出来ますから、締め付けすぎる心配もありません。
このタイプは、妊娠初期~後期まで、幅広く利用していただく事ができます。
腹巻タイプ
腹巻という言葉通り、腹巻のような筒状の妊婦帯で、妊娠初期~後期までご利用いただく事ができます。
ゆったりした着け心地ですので、締め付けが苦手な方におススメです。
また、自宅でのリラックスタイムはもちろん!就寝時の着用にも向いています。
腹巻タイプは着脱が楽ですし、お腹の保温にも役立ちます。
パンツタイプ
見た目をイメージで言うなら、スタンダードガードルの腹帯バージョンといったところでしょうか。
こちらは履くタイプなので、動いてもずれにくいという利点があります。
お仕事やお出かけの時などに、重宝する腹帯です。
また、ボディラインをすっきりと保ってくれる効果もあります。
ご利用は、妊娠初期~中期がおススメです。
サポートベルトタイプ
腹巻タイプにベルトが付いているものと、イメージしていただくといいかもしれません。
ベルトの締め付けは、ご自身の具合によって調節いただく事が可能です。
お腹が大きくなってくる、妊娠中期移行のご利用をおススメいたします。
また、このタイプには、腹巻タイプとベルトがセットになっているものもあります。
その場合は、妊娠初期~腹巻タイプを、中期以降にはベルトをプラスしてご利用いただく事ができます。
骨盤ベルトタイプ
骨盤ベルトは、妊娠・出産で緩んだ骨盤関節と靭帯(恥骨結合部分を含む)を支えることで、身体の軸をサポートする役割があります。
妊娠中の腰痛や骨盤の緩みによる恥骨痛の緩和に加え、産後にある骨盤関節の緩みを回復する為に利用することもできます。
妊娠初期からご利用いただくことが出来ますが、産後に利用する場合は2か月後程度までを目安にするといいでしょう。
最後に・・・
もしかして「安産祈願の日=帯祝いの日」と思っている方がいらっしゃるのかな?と感じたので、少し触れたいと思います。
妊娠5ヶ月目の最初の戌の日は、妊娠を祝い腹帯を巻いて出産の無事を願う日です。
つまり、この日に腹帯を巻くということが重要で、必ずしも安産祈願を同じ日に行わなくとも大丈夫です。
安産祈願は、体調や都合に応じて、帯祝いの日より早く済ませてもかまいません。
《参考》
現代こよみ読み解き事典 / 岡田芳朗 阿久根忠久 編著
帯祝い / 景光山くらしき不洗観音寺
犬印妊婦帯 / INUJIRUSHI
【骨盤ベルトの基礎知識】どんな効果があるの?いつからつけるべき?注意点は? / MiMiSAIGE 西松屋
画像引用(一部)/ 楽天市場
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