門松やしめ飾り、そして鏡餅といった正月飾りは、年神様をお迎えする準備として飾るもので、それぞれが意味を持っています。
門松としめ飾りについては、こちらをご覧いただくこととして・・・
今回は「鏡餅」の持つ意味や飾り方、そして、鏡餅に付いているお飾りの意味についてお届け致します。
鏡餅の持つ意味は?なぜ飾るの?
お正月を迎えるから鏡餅を飾るというように、お正月には欠かせないお飾りとなっているだろう鏡餅ですが、本来は歳神様を迎えるために供えるお供物ですから、鏡餅そのものに意味があります。
鏡餅の丸い形は円満を、2つ重ねることでかさねがさねを表しています。
つまり、円満に年を重ねるという意味です。
お餅は、古くから神様に供えられる食物のひとつなのですが、古い時代のお正月には、毎年平たい丸い餅をお供えしていました。
今のような形になったのはいつからなのか定かではありませんが、鏡餅が丸いのは古い時代の鏡(銅鏡)から来ており、鏡餅の「鏡」もこのことに由来すると言われています。
また、お正月に年神様が訪れる依り代となるのが鏡餅であり、年神様の御魂が宿るとされていました。
さらに、年神様は新しい年の幸福や恵みだけではなく、魂をも分け与えてくださると考えられていたため、鏡餅の餅玉を分けて食べることで年神様の魂を自分の中に取り込んだのです。
「魂」と聞くと、あまりいい印象を持たないかもしれませんが、年神様の魂は、一年を力強く生きていくために必要な力の源と思ってください。
供えていた鏡餅を鏡開きの日に皆で食べることで、そこに宿った力を分けていただくと共に、一年間の健康や幸せを願いましょう。
鏡餅の飾り方
時代によって移り変わってきた鏡餅の飾り方ですが、地域によっても違いが見受けられます。
鏡餅の正式な飾り方は、白木の三宝(三方)に半紙を敷き重ねた丸もちを載せ、その周りに橙、裏白、昆布、ゆずり葉などと、縁起物の海の幸、山の幸を飾ります。
ご家庭で飾る場合は、基本の飾り方を抑えていればその通りでなくとも大丈夫です。
- 三宝の上に紙(半紙や四方紅)の端が三宝から垂れるように敷きます。
- 裏白の葉の白い方を前に向けて乗せます。
- その上にお餅(2段重ね)を乗せます。
- お餅の上に橙を載せます。
ここで、えっ?!と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに、ご家庭で餅をついて鏡餅を作る場合の話と言えばそれまでです。
ただ、本来はこうなんだよぉという事だけは、頭の片隅にでも置いておいて欲しいと思います。
さて、市販されている鏡餅にもお飾りがセットになっていますが、それぞれの名前や意味はご存じでしょうか?
鏡餅に付いているお飾りの名前とその意味
市販されている鏡餅は、このような形が一般的かと思います。
お飾りの名前は、
- お餅を乗せる台が三宝
- お餅の下に敷く赤い縁取りの紙は四方紅
- 緑の葉っぱが裏白
- 紅白で稲妻状に折られている紙は御幣
- お餅のてっぺんには橙
- 橙の上にあるのが扇
になります。
ご家庭で作った鏡餅を供える時、三宝が無い場合はお盆でもいいですし、橙が無い場合はみかんで代用しても大丈夫です。
また、昆布や串柿、海老などを飾る地域もあります。
※串柿=柿を串にさした状態で干し柿にしたもの
さて、お飾りの名前が解ったところで、主なお飾りの意味を1つずつみていきましょう。
橙
橙は、その年になった実を落とさずに、次の年にも、また次の年にも新しい実をつけます。
一度なった実はおおよそ4~5年は落下しません。
何代もの橙が一本の木についている事を家族にたとえ、家系代々の長寿や繁栄を願う縁起物として飾ります。
扇
扇の形は末広がりに通じるとされ、末永く繁盛しますようにという願いが込められています。
串柿
柿は、「嘉来」(喜び幸せが来る)に通じる縁起のいい長寿の木で、幸せをかき集めるという意味があります。
通常10個(外側に2個、内側に3個と放して指したものが2つ)飾られるのですが、これは「外はにこにこ、仲むつまじく」という語呂合わせになっています。
御幣
御幣の赤い色には、魔除けの意味があります。
また、白一色のものは「四手」と呼ばれます。
四方に大きく手を広げ、繁盛するようにと願うものです。
海老
海老の姿かたちになぞらえて、腰が曲がるまで長生きするようにと祈るものです。
四方紅
四方を紅で縁取ることで、天地四方の神を拝し災いを払い、一年の繁盛を祈願するものです。
裏白
裏白は常緑樹のシダで、葉が左右対称の対になって生えているところから、夫婦円満を意味します。
また、古い葉が落ちずに新しい葉が出てくるので、橙と同じように家族の繁栄を願う気持ちも込められています。
さらに、裏白の葉は表が緑で裏が白いことから、心に裏表が無い「清廉潔白」を表すとともに、白髪になるまでの長寿を願うものです。
昆布
昆布は「よろこんぶ」で喜ぶの語呂合わせです。
他に、子生(子供が生れる)の意味があります。
そういえば・・・
市販の鏡餅にセットされているお飾りの中に、昔は「昆布」が切り抜きで付いていた記憶があります。
昆布の意味を書いていて、「最近の鏡餅に昆布が無いのはなぜかしら?」と不思議に思っていたところです。
≪参考≫
鏡餅とは / 株式会社もちや
鏡餅について / 前原製粉株式会社
なぜ鏡餅というの?鏡餅の由来と飾り方 / All About
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詳しくてスゲェ