5月5日は、こどもの日!
柏餅や粽を食べることと同じくらいに、菖蒲湯は、おなじみの風習ではないでしょうか?
菖蒲の葉っぱを束ねて湯船にポイッ!
お風呂が沸くと
「今日は菖蒲湯だから、入ってらっしゃい♪」
って・・・
菖蒲湯って葉っぱが入ったお風呂???
そんな子供の頃もありました。
この菖蒲湯という風習ですが、実は約1300年も前から受け継がれているものです。
これほど長く受け継がれている菖蒲湯には、どんな由来があるのでしょうか。
また、菖蒲は薬草や厄除けとしても利用されてきたものです。
そこで、菖蒲(湯)の効果や菖蒲が厄除けとされた理由も併せてお届けいたします。
菖蒲湯(しょうぶゆ)の由来
菖蒲湯の由来は、古代中国まで遡ります。
古くから薬草として菖蒲を利用していた中国において、菖蒲湯は漢方の湯治療のひとつでした。
また、菖蒲は邪気を祓うといわれており、5月5日には菖蒲酒を飲むなどして邪気を祓っていました。
こどもの日と菖蒲の関わりについては、こちらの記事にも記載しています。
さらに、同じ5月5日に行われていたのが、浴蘭節という風習です。
蘭を浴びる節と書く浴蘭節は、蘭を入れたお風呂「蘭湯」に入ることで災厄を逃れ、邪気を祓うという風習でした。
現在も、中国の端午節では、「薬草を摘んで健康を祈願したり菖蒲酒を飲む」という風習が残っているそうです。
※豆知識※
「蘭湯の「蘭」は、洋蘭の「蘭」ではありません!」
蘭と聞くと、洋蘭を思い浮かべる方も少なくは無いと思います。
でもね・・・これがちょいと違うんです。
蘭湯の「蘭」は、蘭草の「蘭」を指していて、蘭草はフジバカマのことを言います。
日本では、秋の七草の1つとしておなじみですね^ ^
平安時代、中国から端午の節句と時を同じくして、浴蘭節や菖蒲湯の風習も日本に伝わりました。
日本では蘭草が少なかったため、各地で手に入る菖蒲が代用され定着したといわれています。
が・・・
菖蒲は、「尚武」や「勝負」に通じるとされていたことも、蘭ではなく菖蒲に落ち着いた理由の1つではないかと感じます。
菖蒲湯の菖蒲は○○じゃない!?
ところで、先に書いた蘭草の「蘭」のように、菖蒲と聞くと「花菖蒲」を思い浮かべたりはしませんか?
しかも菖蒲と書いて「あやめ」とも読むので、同じものだと勘違いしてはいないでしょうか。
「菖蒲・花菖蒲・あやめ」は、全く違う植物です。
植物学で見てみると・・・
花菖蒲とあやめは、どちらもアヤメ科アヤメ属の植物なのでお仲間といったところです。
では、菖蒲湯の菖蒲は?というと、サトイモ科ショウブ属です。
しかも、花菖蒲やあやめのように、きれいな花は咲きません。
写真で見ると・・・
↓ ↓ ↓
真ん中に見える「がまの穂」のようなものが、菖蒲の花です。
葉っぱは似ていますが、花を見ると別物だという事がよく解るかと思います。
菖蒲湯の効果
さて、薬草として利用されてきた菖蒲ですから、
その葉っぱを入れる、菖蒲湯だって体にいいはず!
なぁ~んて思っても、不思議な事ではありません。
菖蒲の葉や根茎には、精油となる成分が多く含まれています。
そのため、強い芳香を持ち合わせています。
この強い芳香が、古来において厄を祓うと信じられていたのです。
精油(エッセンシャルオイルともいいます。)は、植物の花葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから抽出した天然の素材です。
有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質で、各植物により特有の香りと機能をもっています。
アロマテラピーに詳しい方は、ご存知かと思います。
菖蒲に多く入っている精油となる成分はアザロンとオイゲノールで、これらが菖蒲独特の香りの素となっています。
さらに、この成分は血行促進や疲労回復の効果も併せ持っています。
菖蒲湯には、主に菖蒲の葉が利用されますが、根茎の方がより多く精油となる成分が含まれています。
漢方では、日干しにした菖蒲の根茎を用いており、日干しにした菖蒲の根茎は、菖蒲根と呼ばれています。
だから!!!
菖蒲湯って本当に体にいいの?早く教えてよ!
そろろそ、そんな声が聞こえてきそうなので、本題に入ります^ ^
菖蒲湯は、このような事に効果があります☆
- 血行促進
- 腰痛
- 神経痛
- 冷え性
- 筋肉痛
- リュウマチ
- 肩こり
加えて、菖蒲の香りには、アロマテラピー効果もあります。
菖蒲湯は、血行が良くなり、痛みを伴う諸症状を和らげることはもちろん!
香りによって、心身のリラックス効果を得ることもできるという優れものです☆
菖蒲湯の効果をより高める方法
菖蒲湯には通常、菖蒲の葉を用います。
だいたい、10本程度がちょうどいい量になります。
もし根付きの菖蒲が手に入るとしたら、根の付いたままお風呂に入れた方がより効果が高まります。
でも、本当に「もし・・・」という話で、現実的には、なかなか難しいところかもしれません。
どうしても、菖蒲の根茎を手に入れたい場合は、漢方薬のお店で「菖蒲根」と尋ねてみてください。
菖蒲根は、刻んでから軽く一握り分を布袋に入れて煮出します。
お風呂には、煮出した汁ごと全部入れてください。
こうすることで、精油成分のたっぷり入った菖蒲湯が出来上がります。
布袋の準備が面倒な場合は、だし用の袋(不織布でできたもの)でも代用できます。
菖蒲の葉を湯船に入れたくない場合
お風呂に入って、菖蒲の葉が直接肌に触れるのがイヤ!という場合にお試しください。
まず、菖蒲の葉を細かく刻んで布袋に入れます。
次に、布袋を洗面器などに入れ、上から熱湯を掛けてください。
そうしたら、菖蒲の精油成分がお湯に染み出すまで、約10分程度待ちます。
最後に、精油の染み出たお湯、そして布袋も一緒に、湯船に入れてください。
もし、どうしても菖蒲を手に入れることが難しい場合は、温泉の元ならぬ菖蒲湯の素を利用するという手も・・・
最後に・・・
菖蒲の葉っぱは、その時期になるとスーパーなどで販売していることもあります。
今年は!と思ったら、こまめにチェックしてみてください^ ^
入荷してもすぐに売り切れる、というお店も少なくはないようです。
お馴染みのお店があるようでしたら、早めに予約しておくといいかもしれません。
≪参考≫
<中国旅游>端午の節句、発祥の地・中国での風習 / Record China
菖蒲湯の由来 / なっとく!おもしろ由来辞典
菖蒲湯の効能と由来・入り方 / 和風生活ノート
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