布で作られた小さな様々な人形達が、ゆらゆら揺れるつるし雛は、かわいくもあり、華やかでもあり・・・
吊るし雛は雛人形の傍に飾られる事が多いので、もしかしたら雛段飾りに華やかさを添える物というように思われているかもしれません。
でも、違うんです。
つるし雛の誕生には、その当時の庶民の生活が深く絡んでいますし、吊るされているお人形やお飾りには意味があります。
つるし雛の由来
つるし雛は、伊豆の稲取温泉が発祥の地であり、江戸時代から伝わっている伝統ある風習です。
京都で生まれた「ひいな遊び」が江戸に広まって庶民に定着したのが「ひな祭り」であり、江戸時代中期には、現在のようなひな壇飾りが飾られるようになっていました。
しかし、雛人形は高価なもので、庶民の手には届かなかったのです。
そんな時代に、「手作りで子供や孫の初節句を祝おう」という親心から生まれたのがつるし雛です。
つるし雛は、はぎれで作った小さな人形やお飾りを、竹ひごの輪から赤い糸に下げてつるしたもので、その人形やお飾りひとつひとつに、親が子を思うあたたかい願いが込められています。
つるし雛 そのお飾りの意味は?
つるし雛のお飾りは、なんと!110種類もあります。
これには筆者もビックリしたところで、さすがにすべてについて書くことは難しいのが現状です(汗;
そんなわけで、主なお飾り10種に絞って、お飾りの写真と共にその意味をご紹介いたします。
猿っこ
さる(去る)に掛けて、厄や災い、病が去るという意味が込められています。
桃
桃は、古くから、邪気や魔力を祓い、長寿をもたらすものとされています。
また、早く花が咲き、実が多くなるところから子だくさんを象徴しているとも言われます。
唐がらし
かわいい娘に悪い虫がつかないようにという、願いが込められています。
雛人形をしまう時の防虫剤として、唐辛子を用いていたところからきています。
座布団
座布団の周りをはって遊ぶ赤ちゃんが、早くお座りができますようにという願いが込められています。
這い子人形
「はいはい」をたくさんする赤ちゃんは、丈夫で元気に育つといわれています。
健やかに育ちますようにという、子を思う親の気持ちが込められています。
おかたぐろ(おかたごろ)
「おかた」は高貴な人を意味します。
将来、良家へ嫁いでほしいという、親の願いが込められています。
巾着
今で言うお財布の役割をしていたのが巾着です。
お金に不自由することが無いようにという、意味があります。
三角
薬袋や香袋が三角だったところからきており、病気に無縁でありますようにという、願いが込められています。
お香は気を鎮めるので、昔は薬としても用いられていました。
うさぎ
優しい性格のうさぎですが、その赤い目には霊力があるとされていました。
優しくも芯のある人に・・・そんな思いが込められています。
三番叟(さんばんそう)
五穀豊穣を願って舞う、伝統芸能の装束をまとった人形です。
食べ物に困らないようにという、祈りが込められています。
以上、ほんの一部ではありますが、どのお飾りをとっても娘を思う親の気持ちがたっぷりですね^ ^
ここには無いお飾りについては、こちらのサイトが詳しいのでご案内いたします。
「つるしびな大百科 意味・いわれ」
変わりますが、昔のつるし雛は、着物の切れ端を使った手作りで作られていました。
きっと、一針一針、愛情をこめて縫っていたのでしょう。
今では、お店で買う事もできますが、何でも買って済ませられる時代だからこそ、愛する娘ちゃんのために、心を込めてつるし雛を作ってみてはいかがでしょうか。
手作りキットでお手製のつるし雛を!
つるし雛を手作りする時に必要なものは、
- ちりめんなど和柄の布と、中につめる綿
- お人形の目にするビーズなど
ですが、なんといっても「型紙」が無い事には始まりません。
えーーーーっ!
型紙なんて、自分じゃどうにもできないよぉ。
やっぱ手作りなんて無理!!
という声が聞こえてきそうですが・・・
そ・こ・は!この便利なご時勢ですからご安心ください。
つるし雛の「手作りキット」を利用しましょう!
例えば、こんな感じのつるし雛を作る事ができる材料セットを手芸店で購入することができます。
毎日少しずつ、愛情を込めてひと針ひと針・・・
バタバタした日常の中に、そんな時間があるのもいいと思いませんか?
≪参考≫
つるし雛の由来・吊るしひな飾りの意味 / つるしびな大百科
飾りのいわれ / 絹の会
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