成人した後に年祝いがあるように、子供にも命を宿してから大人になるまでの間、様々な祝い事があります。
「お食い初め」も、その一つです。
これは勝手な推測ですが、自分の記憶に残っているだろう年齢が関わる行事は、七五三以降ではないでしょうか。
お食い初めもそうですが、生まれる前から七五三より前に行う行事がいくつかあります。
その中から、今回は「お宮参り」を取り上げます。
- お宮参りってなに?
- お宮参りの時期はいつ?誰と行けばいい?
- お宮参りに行く時は、どんな服装がいいの?
といった疑問をお持ちでしたら、ここで解決してしまいましょう!
お宮参りとは?
宮参りを簡単に説明するとしたら、生まれた子供の長寿と健康そして幸福を祈り、産土神に参詣する行事です。
※産土神:その土地の守り神
現在では、地元の神社よりもその土地の有名神社に参詣する方が多くなっているかもしれません。
また、お宮参りは「初宮詣」「初宮参り」ともいわれます。
忌明けの祝いってなに?
今では考えられないことですが、昔は出産を穢れたものとして扱われていました。
※赤不浄ともいわれます。
出産時に出血をすることから、出産中の妊婦は生と死つまりはこの世とあの世の間をさまよっているものと考えられており、出産後の身体にはあの世の穢れが残っているとされていました。
そのため、産後は神棚や神社に近づくことはご法度で、家族など周囲の人からも一定期間隔離されて過ごさなくてはいけなかったのです。
その期間はおおよそ1か月(30~31日)が一般的なところのようですが、45日という地域もあったりと、その地域によって違いがあります。
産後の忌が明けると、「忌み明けの祝い」として神社にお参りをしていました。
お宮参りと忌明けの祝い
お宮参りについて調べていると、「お宮参りは別名を忌明けの祝いという」といった記載をたくさん見かけたのですが、どこか勘違いしやすいように思えてしょうがありませんでした。
別名で解り易いところをあげると「十五夜」は「中秋の名月」で、どちらも同じお月様を指しています。
でも「お宮参り=忌明けの祝い」ではありません。
お宮参りは生まれてきた子供の行事であり、忌み明けの祝いは産後のお母さんの行事です。
じゃぁなぜ?と思いませんか?
お宮参りの時期はこの後すぐに書いていますが、その時期が(一般的なところで)忌み明けの時期とほぼほぼ重なっていることもあったのでしょうか。
お宮参りの行事と忌み明けのお参りを、一度の参詣で兼ねていたことが「別名」と言われるようになった所以といっても過言ではないと思います。
お宮参りはいつ行くの?
お宮参りをする正式な時期は、一般的な二つのパターンが存在しました。
ひとつは、
- 男の赤ちゃんは生まれてから31日目
- 女の赤ちゃんは生まれてから32日目
というもので、もうひとつは
- 男の赤ちゃんは生まれてから32日目
- 女の赤ちゃんは生まれてから33日目
というものです。
この違いは、地域によるものです。
他に、男女ともに50日または100日という地域もあるそうです。
ここで厄介なのは、例えばお盆の時期のように、この地区はこの時期というはっきりとした区分けができないというところです。
一つの県内でも、地域によって異なった時期が通例となっている場合が、多々あるようです。
迷った時にはご家族やご近所の年配の方に聞いてみる、もしくはお参りに行く神社に確認するのが一番かと思います。
正式な時期にお参りできなかったらどうする?
ご家庭の都合や産婦さんの体調など様々な事情で、この時期はちょっと無理という事があるかと思います。
確かに昔から続く正式な時期はありますが、絶対ではありませんし、現在では生後1ヶ月頃を目安とする場合も多くなってきています。
出産後おおよそ30日を目安として、それ以降、都合のいい日を選んでお参りに出向かれてるといいでしょう。
お宮参りの方法は?
お宮参りには、
- お賽銭を入れてお祈りする(通常の参拝と同じ)
- お祓いを受け祝詞を上げてもらう
この、二つの方法があります。
普段の参拝と同じようにお宮参りを済ませる場合は、その流れにおいて特に不安な事は無いかと思います。
ただ、祝詞を上げてもらう場合ですと、神社へのお礼として初穂料が必要になりますから、いくらくらい?と気になるところではないでしょうか。
この辺りを含めて、祝詞を上げてもらう場合の準備的なところを以下にまとめます。
祝詞を上げてもらう場合について
祝詞を上げて貰う場合は、お参りの日時をあらかじめ予約するようにしましょう。
聞きにくい事かもしれませんが、予約の時に初穂料を確認しておくと準備も楽になります。
初穂料の相場は、赤ちゃん一人5,000円~10,000円で、双子の場合は1.5倍程度です。
もし「お気持ちで・・・」と金額を明示されなかったとしたら、相場を参考に包んでください。
そして、初穂料を収めるのし袋ですが、水引は蝶結びのものを使用します。
水引より上に「初穂料」または「御初穂料」、水引より下には「赤ちゃんの名前」をフルネームで書きます。
※ご両親の名前を書かないよう、ご注意ください。
この時、赤ちゃんの名前が読みにくいものだとしたら、横にフリガナを振るようにします。
お札は向きを揃え肖像画を上にして、表がのし袋の表を向くように入れてください。
お宮参り当日は、まず受付を済ませなければなりません。
申込書の記入が必要ですので、記入を終えた申込書を渡す時に初穂料を一緒に渡します。
ここを押さえておけば、いつ渡したらいい?の疑問は解消されますね^ ^
お宮参りは誰と行くの?
古いしきたりをみると、お宮参りに行くのは、赤ちゃんと父親、父方の祖父母で、赤ちゃんは祖母が抱っこすると決められていました。
母親が除かれている事は、先に書いた「産後の忌」が理由です。
その後、赤ちゃんと両親、父方の祖父母で行くスタイルになりましたが、この時も赤ちゃんを抱っこするのは祖母でした。
母親が赤ちゃんを抱かない理由は、産後の母親の身体を気遣ったからとも、産後の穢れた体で赤ちゃんを抱くことを嫌ったからともいわれています。
ちなみに、母方の祖父母がお宮参りに参加しないのは、赤ちゃんは嫁ぎ先の家の子供という認識が強くあったことが一つの理由だろうと思われます。
では現代はどうかというと、赤ちゃんと両親そして祖父母(父方・母方)とでお参りに行くのが一般的となっています。
ただ、今は祖父母と離れて暮らしていることも多いので、日程なども含めてご家族で話し合って決めていただくといいと思います。
また、赤ちゃんを抱く方も、しきたりにこだわらないのであれば誰でもかまいません。
お宮参りにはどんな服装で行ったらいいの?
お宮参りの正式な服装は和服になりますが、現在は正式な服装で写真を撮って、実際にお参りに行く時はフォーマルな服装でという方も増えてきています。
赤ちゃんの服装
赤ちゃんの服装は、肌着の上に白羽二重の着物を着せ、その上から掛け着をかけるのが正式です。
掛け着は祝着や熨斗目とも呼ばれており、一つ身の振の長い着物で結び紐が長く付いています。
掛け着の模様は、男の子であれば鷹や兜、龍が入った熨斗目模様、女の子は花や鞠、蝶が入った友禅模様となります。
洋装でしたら、肌着の上にベビードレス、ケープをつけて華かさを加えてもいいでしょう。
近年は、ベビードレス+掛け着というスタイルも増えて来ています。
ご家族の服装
ご家族の服装は、赤ちゃんの服装と合わせるようにします。
赤ちゃんが正装であれば、ご家族も正装という具合です。
ご家族の正式な着物は黒留袖や色留袖になりますが、現代では訪問着、付け下げ、色無地程度に抑える方が多くなっています。
洋装の場合は、スーツやワンピースなどフォーマルな服装をお勧めいたします。
男性の服装について
男性の場合、特に着物である必要はありません。
確かに正装となると羽織袴なのですが、今では黒か紺のスーツが一般的となっています。
結婚式に招かれた時の服装を、イメージすると考えやすいかと思います。
最後に・・・
お宮参りは、赤ちゃんの誕生を祝い健やかな成長を願う儀式です。
昔からのしきたりや地域による風習などもありますが、あまり囚われ無くともいいのかなぁ~というのは個人的な意見です。
だって、赤ちゃんのために行うものですから ^ ^
今の世の中、それぞれのご家族に様々な事情がありますから、あなたのご家族にあった方法でお宮参りを行っていただけたらと思います。
《参考》
初宮詣・初宮参り・お宮参り / 國領神社
出産 / 日本文化いろは事典
お宮参り / 日本文化いろは事典
お宮参りとはなにか? / きものレンタルwargo
お宮参りの初穂料・玉串料の違いと相場 / happily PhotoStudio
教えて!お宮参りの基本知識 / happily PhotoStudio
お宮参りの段取り・手順・当日の流れについて / きもの豆知識
女の子のお宮参りはいつ?初穂料の相場は?意外と知らないお宮参り / 記念撮影コラム プレッシュスタジオ
冠婚葬祭常識事典 / 主婦の友社編
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