年が明けると、冬がどんどん本格化していきます。
正月三が日が過ぎ、ふっと一息つく頃になると、「今日は、寒の入りです。」という言葉を、よく耳にするかと思います。
寒に入ったということは、これから、1年で最も寒い時期を迎えるということです。
※寒の入りは小寒の日を指し、寒の期間は小寒と大寒の期間を合わせたものとなります。
雪国にお住まいの方でしたら、もう寒いのはうんざりだし、雪も勘弁して欲しいわ・・・なんて思っている頃かもしれません。
そんな1年で最も寒い時期は、二十四節気において「大寒」に当たります。
今回は、
- 大寒の持つ意味は?
- 大寒の日とはいつ?
- 大寒はどんな季節なの?
こんな疑問に答えるべく、こよみ便覧や七十二候の言葉を用いてみていくことといたします。
大寒卵については七十二候の段で書いていますので、そこだけ見たい!という場合は、もう少し下の方へ進んでください。
それでは、大寒の持つ意味から、話を始めます^ ^
大寒の意味とは?
この時期をどうして「大寒」と呼んだのか?こよみ便覧を紐解いてみると、大寒の欄には
「ひゆることのいたりて はなはだしきと記なればな里」
とあります。
平仮名が多くて解り難いと思いますので、現代の漢字かな混ざりに修正すると、
「冷ゆることの至りて 甚だしきときなれば也」となります。
言わんとすることは、なんとなくでも解るのではないでしょうか。
少し、言葉の意味を補足すると
- 「至り」は、「ある物事が最高の状態に達していること」
- 「甚だしい」は、「普通の度合をはるかに超えている」
です。(goo辞書より)
直訳すると、「冷える事が最高の状態で、普段の度合をはるかに超えている時だからである」となります。
ここまでくれば、もう大丈夫ですね?!
「寒さ(冷え)が一番厳しい時期だから、大寒である」という意味です。
江戸時代(1787(天明7)年)に出版された、暦の解説書で、現在でも二十四節気を説明する際に引用されることが多い書籍です。
国立国会図書館に所蔵されており、現在はネット公開されています。
⇒「こよみ便覧」※コマ番号「7」で二十四節気の記載ページに飛びます。
2025年の大寒の日はいつ?
大寒は、毎年1月20日頃もしくは、大寒から次の節気である立春の前日までの期間を指します。
2025年の大寒の日は1月20日、その期間は1月20日~2月2日迄です。
2025年の立春は2月3日ですので、参考にされてください。
もし、大寒っていつまでだっけ?と思う事があるとしたら、立春の前日までを置き換えて節分の日までと覚えておくといいかもしれません。
大寒はどんな季節なの?(七十二候)
さて、大寒の頃の日本はどんな季節を迎えるのでしょうか?
七十二候の言葉をもとに、見ていくことにします。
※七十二候は、1つの節気を、初候、次候、末候(5日ずつ)の3つに分けて、気象や動植物の変化を表したものです。
大寒 初候 款冬華
「款冬華(ふきのはなさく)」
※「かんとうはなさく」「ふきのとうはなさく」と読むとも言われています。
厳しい寒さの中、深い雪の下で、蕗の薹のつぼみがそっと顔を出す頃を表しています。
蕗の薹は、雪解けを待たずに顔を出すので、「春の使者」とも呼ばれています。
大寒の後に訪れる節気は、立春です。
遠い昔の人達は、寒さが厳しい時節でありつつも、雪の下から頭をもたげる蕗の薹をみつけては、春が近いというかすかな喜びを感じていたのだろうと思わずにはいられません。
それと、大きくは触れませんでしたが、款冬はふきの別名だということを申し添えます。
大寒 次候 水沢腹堅
「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」
厳しい寒さで、沢の水も堅く凍ってしまう頃を表しています。
「水沢腹堅」は、音読みで「すいたくふくけん」、訓読みでは「水沢腹く堅し」とも読まれます。
訓読みだと、イメージが作りやすいですね^ ^
沢の水も堅く凍るほど厳しい時期でありながら、この頃になると福寿草が花を咲かせます。
秋に芽を出して冬に花を咲かせる福寿草は、「元日草」や「朔日草」とも呼ばれ、春を告げる花の1つです。
大寒 末候 鶏始乳
「鶏始乳(にわとりはじめてにゅうす)」
※「にわとりはじめてとやにつく」とも読みます。
鶏が春の気配を感じて、卵を産み始める時期を表しています。
もしかしたら卵を産み始める時期って・・・?と、不思議に思ったかもしれません。
養鶏が発達している現在は、いつでも卵を手に入れることができますが、そうではなかった時代もあります。
昔は、冬の寒さが起因となり、鶏の産卵数が極端に少なくなりました。
さらに、その寒さゆえに、鶏は水の摂取量が減り飼料を多く食べたのです。
そんな環境で産む卵は、一年のうちで最も栄養価が高い卵になりました。
「大寒の卵を食べると、1年を健康で過ごすことが出来る」と言われいる事には、こういった背景があります。
また、大寒の卵は黄身も濃厚で、最もおいしい卵と言われています。
大寒の卵は縁起物!と言われるのはなぜ?
さらに、大寒卵は縁起物!と言われているので調べてみたところ、風水が絡んでいることが解りました。
風水においての「大寒の卵」は、金運と健康運を呼ぶ縁起物とされています♪
これには、
- 大寒の寒さの中で生まれる卵は、最も生気に溢れている
- 寒さを耐えた後には春がやってくる=堪えた後には、幸せがやってくる
- 卵は、金の気を持つ食べ物である
という理由があります。
ご利益がたっぷりありそうな大寒卵!普段あまり卵を食べないという方でも、縁起担ぎで食べたくなってしまうような気が・・・^ ^
最後に・・・
大寒の頃は、みそや醤油、高野豆腐やお酒などを、仕込む時期でもあります。
また、大寒の朝に汲んだ水は腐りにくいと言われており、汲み置きする家庭もあるそうです。
その寒さから、雑菌が入りにくい(繁殖しない)時期だからなのでしょう。
寒いのは嫌い!!というのは、よーく解ります。
でも、その寒さが必要いう事もあるのだと改めて実感しているところです。
≪参考≫
旧暦で楽しむ日本の四季 二十四節気と七十二候 / 別冊宝島編集部編
大寒の卵を販売!金運・健康運を呼ぶ縁起物の大寒の卵 / ㈱落水正商店
大寒(二十四節気・雑節) / 日本の行事・暦
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