まだまだ寒い日も多いけど、なんとなく春が近づいてきたような・・・
そんな風に感じる頃、二十四節気でいう「啓蟄」を迎えます。
と言ったところで、あまりピンと来ないかもしれません。
どこかしらで「けいちつ」と耳にしたことはあっても、「啓蟄」という漢字は、目にする機会が少ないかと思います。
多分ですが、この二文字は「ふりがなが無ければ読めない漢字」の部類ではないでしょうか?
ましてや、意味を聞かれたら、頭の中が?????となってしまうかもしれませんwww
こんな風に馴染みのない啓蟄について、この時期を啓蟄と呼んだ意味をはじめ、その季節や時期をみていくことにします。
それでは、啓蟄の持つ意味からご覧ください^ ^
啓蟄の意味とは?
まず、「啓蟄」という漢字をばらばらにして意味を見てみましょう。
「啓」は「ひらく」とも読みます。
その読みの通り「開く、開放する」という意味を持っています。
「蟄」の訓読みは「かく(れる)」です。
「かくれる」の他に、「ひそむ、とじこもる」という意味があります。
ふたつの漢字を合わせた意味は、隠れたり、閉じこもったりしていたものが開放されるというところでしょうか。
それではここで、こよみ便覧を見てみましょう。
※こよみ(暦)便覧:天明7(1787)年に出版された暦の解説書で、二十四節気の意味を説明する際に最もよく利用されているものです。
啓蟄の欄には、
「陽気地中にうごき ちぢまる虫 穴ひらき出ればなり」
と、記載されています。
先に書いた漢字の持つ意味と突き合わせると、閉じこもっていたものが何なのか?は、もう解りますね^ ^
そう!虫です。
ちぢまる虫は、地中にもぐって縮まっている、つまり冬眠している虫を表しています。
ここまでの事をまとめると、啓蟄が持つ意味は、
「春の陽気を感じ、地中で冬ごもりしていた虫が動き出し、はい出してくる季節」
ということができます。
啓蟄の時期 2024年はいつ?
啓蟄は、二十四節気において三番目に訪れる節気です。
毎年3月6日頃に訪れ、その期間は啓蟄の日から次の節気である春分の日の前日までとなります。
2024(令和6)年の啓蟄の日は3月5日、その期間は3月5日~3月19日となっています。
啓蟄はどんな季節なの?(七十二候)
南の地域では春が訪れ、北国は春を待ち焦がれている。
現代日本での啓蟄は、そんな時期のように感じます。
ここからは、七十二候の言葉をかりて、啓蟄の季節をみていきましょう。
※七十二候:一つの節気を「初候・次候・末候」と三つの期間に分けたもので、それぞれに季節を表す言葉が付されています。
七十二候 初候 蟄虫啓戸
「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」
地中で冬ごもりをしていた虫たちが、土の扉を開け広げて、出てくる季節を表しています。
すみれやれんげ草が咲き始め、春らしさが増してくる時期でもあります。
さらに、山には蕨やぜんまいが出始めます。
この二つ・・・あく抜きという手間が必要ですが、おひたしや和え物でいただくのが一番です。
七十二候 次候 桃始笑
「桃始笑(ももはじめてわらう)」
※「ももはじめてさく」とも読みます。
桃の花が咲き始める季節を表しています。
古来日本では、花が咲くことを「笑う」とも言ったのだそうです。
その香りは、せかせかした気持ちを、ホッと和ませてくれることでしょう。
また、桃(果実)は、水分が多いことから「水菓子」と呼ばれ、平安~鎌倉時代には珍重されていたと言われています。
七十二候 末候 菜虫化蝶
「菜虫化蝶(なむしちょうとかす)」
※「なむしちょうとなる」とも読まれます。
青虫が羽化して、蝶になる季節を表しています。
青虫が蝶になると聞いて、一番に思い浮かぶのは、ひらひらと舞う紋白蝶ではないでしょうか。
ただ、青虫がさなぎになって羽化することを考えると、この時期は早すぎると感じるかもしれません。
紋白蝶は、「卵 → 青虫 → さなぎ → 成虫」というサイクルを一年中繰り返しており、冬を迎えたさなぎは、そのまま冬眠して春を迎え、暖かい陽気を感じると羽化して飛び始めます。
小さな春の使者
紋白蝶には、そんな名前が似合うように思います。
最後に・・・
啓蟄は、本格的な春(春分)を迎える直前の季節です。
雪も解け始めて、なんとなぁ~く暖かい日も増えてきます。
もう少しで温かい季節が来る♪
そんなワクワクした気持ちにもなる、素敵な季節だなぁ~と思います。
≪参考≫
旧暦で楽しむ日本の四季 二十四節気と七十二候/別冊宝島編集部編
現代こよみ読み解き事典/岡田芳朗 阿久根末忠 編薯
日本の七十二候を楽しむ-旧暦のある暮らし- / 白井明大 有賀一広
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