二十四節気
のひとつである小暑は、梅雨明けの後、本格的な夏を迎える前に訪れる節気です。
「小さな暑さ」で「しょうしょ」と呼ぶところは、実際の季節にも合っているように感じます。
今回は、小暑の意味やその季節について、こよみ便覧と七十二候の記載をもとにまとめました。
もちろん!今年(2024年)の小暑の日と、その期間も解ります^ ^
小暑の意味とは?
早速ですが、こよみ便覧において小暑の欄をご覧ください。
⇒ 「こよみ便覧」
※コマ番号「7」で、二十四節気の記載場所へ飛びます。
「大暑来れるまへ(前)なればなり」
という記載が、確認できたかと思います。
大暑は、小暑の後に訪れる本格的な夏の時期です。
ここが解ると、こよみ便覧で示している小暑の意味は、すぐに解っていただけるのではないでしょうか。
「本格的な夏が来る前の季節だから(小暑)である」ということです。
他の節気と比べると、特に難しい比喩もなく、とても解り易い記述だと思います。
また、小暑の意味には、暑さがだんだん強くなっていくという記載が多くあります。
これは、こよみ便覧の小暑の意味をもっと解り易く表現したものだと解釈します。
繰り返しになりますが、小暑は梅雨が明けて夏に向かう季節ですから、「本格的な夏が来る前の季節」というよりも、「暑さがだんだん強くなっていく」という感覚の方が、より現実味があるように感じます。
さて、そんな小暑の日(期間)はいつ頃訪れるのでしょうか。
小暑はいつ?
小暑は、毎年7月7日頃、もしくは小暑から次の節気である大暑までの期間を指します。
現在、暦要項で公表されている小暑の日(期間)は、
- 2024年が、7月6日(7月6日~21日)
- 翌2025年は、7月7日(7月7日~21日)
と、なっています。
小暑の日は年によって前後しますが、七夕の頃と覚えておくと忘れずに済むでしょう。
そして、小暑の日から、暑中見舞いを出す季節に入ります。
暑中見舞いは、小暑から立秋までの間に出す時候の挨拶状です。
暑中だから、もう少し暑くなってから・・・
なんて、のんびり構えていると期を逃してしまう可能性もありますから、どうかお気を付ください。
小暑の季節
ここからは、七十二候が表す小暑の季節を、その言葉を借りて、順を追って見ていきたいと思います。
小暑 初候 温風至
「温風至(おんぷういたる)」
※「あつかぜいたる」とも読まれます。
温風は、梅雨明けの頃に吹く南風を指していて、暖かい風がふいてくる季節を表しています。
突然ですが、この時期ゆかりの食べ物といえば、「そうめん」です。
なぜにそうめん?と、思う方も多いかもしれません。
その理由は何かというと、そうめんが七夕の行事食だからです。
そうめんの原形は、中国から伝わった「索餅」という唐菓子だと言われています。
古代中国には、「七夕の日に索餅を食べると病気にならない」という、風習がありました。
もちろん、この風習も日本に伝わってきており、平安時代の宮中行事では、七夕に索餅を供えていました。
索餅がそうめんへ変化したのは、日本国内においてのことです。
古来においての七夕は、機織や裁縫の上達を祈るお祭りとして行われていました。
そのため、細くて白いそうめんを、糸に見立ててお供えしていたようです。
また、七夕にそうめんを食べるようになったのも、中国の風習が基になっていると言われています。
余談ですが、7月7日は「そうめんの日」です^ ^
小暑 次候 蓮始開
「蓮始開(はすはじめてひらく)」
蓮の花が開き始める季節を表しています。
泥の中から、すくっと茎をのばし、鮮やかなピンクや真っ白な花を咲かせる蓮。
その花は、夜明けとともに開き、4日目には散ってしまいます。
しかも、生息地の泥が汚れているほど大きな花を咲かせる、というのですから不思議です。
また、蓮の花は、仏教とも深いつながりがあります。
仏様の台座や、厨子の扉に、蓮の彫刻が施されていることでも、解るかと思います。
※厨子=仏像や舎利などを安置する仏具。仏壇も厨子の一種です。
蓮が泥水の中で育ち咲かせた花には、何の汚れもありません。
この事から、泥水は煩悩や苦しみの世界を表し、花は悟りの世界を象徴すると言われています。
蓮の花は、花弁が散ると真ん中にある花托が残ります。
この花托が、ハチの巣に似ていることから、古くは「はちのす」と呼ばれていました。
その後「はちす」⇒「はす」と変化し現在にいたります。
小暑 末候 鷹乃学習
「鷹乃学習(たかすなわちわざをならう)」
※「たかすなわちがくしゅうす」とも読まれます。
5月~6月にかけて生まれた鷹の雛が、飛び方を覚え、獲物の取り方を覚える季節を表しています。
日本において、生態系の頂点に君臨するのが、鷹や鷲などの猛禽類です。
中でも鷹は、鷹狩に使われるなど、古い時代から人間の身近に存在していました。
鷹狩というと、日本独自のものというイメージがあるかもしれません。
でも、その起源は紀元前3000年~2000年頃の中央アジアもしくは、モンゴル高原と考えられています。
歴史的にみると、中世貴族の賢威の象徴であったり、娯楽として行われていたものでもありました。
日本での鷹狩は、「日本書紀」で確認できる記載が、最古のものとされています。
時は四世紀、仁徳天皇の時代です。
鷹狩は、歴代天皇や貴族、武家や戦国武将にも好まれました。
鷹狩好きな武将として、徳川家康が有名ですが、徳川家代々の将軍は、鷹狩好きが多かったそうです。
三代将軍家光が在職中に行った鷹狩は、数百回と言われています。
八代将軍吉宗の時には、鷹を飼い養い管理する役目があり鷹匠と称していました。
鷹狩は、明治維新以降、衰退しましたが、鷹を操る鷹匠の技は、現在も受け継がれています。
ところで!!
夏バテ防止にウナギを食べる土用の丑の日は、よくご存じですよね?!
俗に言う「夏土用」です。
突然何を言い出すの?!と、思うかもしれませんが、夏の土用は小暑の節気中(末候頃)に訪れます。
あぁ~そんな時期なんだ!と、感じていただけたらいいなぁ~と思って引っ張り出してみましたwww
≪参考≫
七夕そうめん / 食の歳時記・旬の味 日々是活き生き-暮らし歳時記
島原そうめん史 / 島原の?龍 長崎県食品販売株式会社
蓮の花(はすの花) / 本願力にあひぬれば
鷹匠・鷹狩 / 特定非営利活動法人日本鷹匠協会
旧暦で楽しむ日本の四季 二十四節気と七十二候 / 別冊宝島編集部編
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