冬の寒さも少しずつ遠のいて、早咲きの桜が満開を迎えるところがあれば、北国ではやっと春が見え隠れし始める。
そんな頃、二十四節気では春分を迎えます。
春分と聞いて、思いうかぶのは春分の日かもしれません。
祝日にもなっていますから、きっと馴染みが深いかと思います。
春分の日が祝日になった経緯は、こちらの記事をご覧いただくとして・・・
ここでは、春分という一つの節気について書きました。
この時期を春分としたのはなぜなのか?春分の持つ意味と、七十二候が表わしている春分の季節をお届けいたします。
もちろん!春分の日や期間もしっかり書いています^ ^
春分の意味
二十四節気を解説する際に、良く用いられているのがこよみ便覧です。
※「暦便覧」と記載されることもありますが、正式名称は「こよみ便覧」です。
この本は、江戸時代に出版されたものですが、二十四ある節気それぞれの解説が書かれています。
ざっくりいうと、こういう時期だからこう呼ぶんだよという説明書きです。
こよみ便覧において、春分の記載を見てみると、
「日天の中を行て昼夜とうぶんの時なり」
とあります。
※「中」のふりがな「ちう」は、現在の「ちゅう」です。
実際の記載を確認したい場合は、こちらをご覧ください ⇒ 「こよみ便覧」
※コマ番号には「7」を入力してください。
ここでの「日」は太陽で、天の中の「中」は、真ん中です。
特に難しい言葉もないので、訳が無くとも意味を読み取ることができるのでは?と思ったりもしますが、訳しますwww
こよみ便覧の記載を現代の言葉に訳すと、
「太陽の軌道が天の真ん中を通るので、昼と夜が当分になる時(だから春分)である」
となります。
太陽の軌道を解り易く示している画像を、一緒に置いておきますね^ ^
春分の日と期間!2024年はいつ?
先にも書きましたが、春分の日は祝日にあたります。
「祝日=お休み」ということもありますから、気に留める方も多いのではないでしょうか。
しかも、カレンダーには、春分の日と明記されていますから一目瞭然です。
では、春分の期間はいつからいつまでになるのかというと、春分の日から次の節気である清明の前日までとなります。
2024(令和6)年は、春分の日が3月20日、その期間は3月21日~4月3日までとなっています。
春分の季節
さて、ここからは、七十二候を用いて春分の季節を見ていこうと思います。
七十二候は、1つの節気を3つ(初候・次候・末候)に分けて、それぞれに季節を表す言葉を当てたものです。
二十四節気よりも細かい期間を、より解り易い言葉を用いて、その季節を表現しています。
春分 初候 雀始巣
「雀始巣(すずめはじめてすくう)」
雀が巣を作り始める季節を表しています。
雑食系の雀は、やっと実った稲穂をついばんだりするので、農家の方にとっては迷惑な鳥かもしれません。
でも、春から夏にかけては、害虫を食べてくれるありがたい鳥でもあります。
さらに、人の住む近くにしか住まないという珍しい習性も持っています。
そんな雀が、繁殖期を迎えるために巣作りを始めるのがこの時期です。
また、たんぽぽの花が咲き始めるのもこの頃です。
道端に黄色いたんぽぽを見つけると、春なんだなぁ~と感じたりはしませんか?
そろそろ春?と、春をおぼろげに感じる季節から春なんだ!と実感できる季節へと移り行く・・・春分の初候は、そんな季節のように感じます。
春分 次候 桜始開
「桜始開(さくらはじめてひらく)」
桜の花が咲き始める季節を表しています。
日本人に古くから親しまれてきた桜の花。
今でもその時期になると、多くの人が桜の花を求めて、あちらこちらに出向きます。
きっと、毎年のお花見を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
満開の桜は見ごたえがありますが、風に吹かれて散る桜もまたいいものです。
ところで、桜にはいくつかの別名があることはご存知ですか?
そのひとつに、夢見草があります。
おそらく、夢を見ているような花とでもいう意味なのでしょう。
桜の花は、咲き始めて満開になったあと一度散り始めると、あっという間に葉桜になってしまいます。
咲いている期間も、1年365日で考えると、かなり短いものではないでしょうか。
美しく咲いたと思うと、程なくして、儚く散り行く桜だからこそ夢を見ているようだという比喩を用いたのかもしれません。
夢見草・・・
桜の花にピッタリの別名だと思いませんか?
春分 末候 雷乃発声
「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」
遠くで雷の音が聞こえてくる季節を表しています。
雷と聞くと、夏のイメージが強いのではないでしょうか。
ピカッ!ゴロゴロゴロ・・・・
ザーーーーーーッ!!!
というのは良くあるパターンですが、この時期の雷は、それほど激しいものではありません。
あれ?雷???
そう思って耳を澄ませても、すぐに止んでしまいます。
ただ、雷は雨を連れてくるという点に違いはなく、雨ならまだいいの方で雪や雹が降ることもあります。
春先に雹が降ると、農作物を傷つけてしまいますから、生産者の方にとっては迷惑な雷かもしれません。
雷の音を聞いて、春なんだなぁ~と思うより、頼むから雹なんて降らないでよ!と思う気持ちの方が強いのではないでしょうか。
消費者側からしても、後の野菜高騰などを考えると、決してありがたいものではないように思います。
こんな風に書くと、雷さんがちょっとだけかわいそうにもなってきますが・・・^ ^;
春の雷は「春雷」と呼ばれ、春を表す季語として用いられます。
また、立春を過ぎてから初めて鳴る雷のことを「初雷」と呼ぶそうです。
最後に・・・
春分の頃は、天候もまだまだ不安定です。
ポカポカ陽気の日が続いたかと思うと、急に冷え込む日があったりもします。
この冷え込みの事を、桜の花が咲く頃の一時的な冷え込みということで、花冷えと呼んでいます。
とても美しい表現ですね^ ^
≪参考≫
旧暦で楽しむ日本の四季 二十四節気と七十二候 / 別冊宝島編集部編
こよみ読み解き事典 / 岡田芳朗・阿久根末忠編著
春分 / 暦生活
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