秋も深まり、朝晩の冷え込みも一段と厳しくなってきて、なんとなく「冬が近いのかなぁ~」と感じてしまう頃・・・
二十四節気では、霜降の時期を迎えます。
二十四節気において秋に属する六つの節気の中で、最後に訪れるのが霜降です。
暦上での冬は、もうすぐそこまで来ています。
さて、今年の霜降は、いつ(からいつまで)なのでしょうか?
また、この時期を霜降とした意味や、どんな季節なのかを、こよみ便覧や七十二候の言葉を借りてみていくことにします。
霜降の意味とは?
霜が降ると書くこの節気、漢字二文字を見ただけで意味もうすうす解るかとは思いますが、いい機会なのでこよみ便覧の記載を見てみましょう。
こよみ便覧で霜降の欄を見ると、
「つゆが陰気にむすばれて霜となりてふるゆへ那り」
とあります。
※実際の記載はこちらをどうぞ ⇒「こよみ便覧」(コマ番号は「7」です)
これを現在の漢字かな使いで書くと、
「つゆ(露)が陰気に結ばれて霜となりて降るゆへなり(也)」
という具合です。
解り難いかと思われる言葉の意味を拾っていくと、結ぶには「空中の水分などが固まる。結露する。」という意味があります。
陰気は陰の気のことなのですが、露が陰の気によって霜になるわけですから、ここでの陰の気は「冷気」とするのが適切でしょう。
ここまでくれば、あなたの頭の中でも霜降の意味が固まってきたのではないでしょうか。
まとめます!
こよみ便覧い記載されている、霜降の意味は、
「露が冷気によって冷え固まり、霜となって降る(季節)だから(霜降)である」
となります。
余談になりますが、霜降の読み方は「そうこう」です。
決して「しもふり」ではありませんので、お間違いのないようにお願いいたします。
霜降はどんな季節なの?
さて、冬が目の前に迫っている霜降とは、どのような季節なのでしょうか。
1つの節気を「初候・次候・末候」の三つに区切り、より細かい季節を表している七十二候の言葉を借りてみていきたいと思います。
霜降 初候 霜始降
「霜始降(しもはじめてふる)」
これはもう、読んで字のごとし!
霜が降り始める季節を、あらわしています。
霜が降るというと、雨や雪のように空から降ってくるように思うかもしれませんが、霜は空気中の水蒸気が氷の結晶となって草木の表面や地面に付いたものをいいます。
テレビやラジオで「今日は○○で初霜を観測しました」という言葉を聞くようになるもこの頃です。
突然ですが、「とんぶり」という食べ物はご存知ですか?
ちょうど、旬を迎えている食べ物なのですが・・・
とんぶりは、食べた時のプチプチした食感から畑のキャビアと呼ばれています。
山芋の千切りにとんぶりを乗せて昆布ポン酢をかけたら、さくっと混ぜて召し上がれ!
お酒のあてには、持ってこいの一品ですっ♪
大根おろしや納豆に混ぜても、おいしくいただくことができます。
と・・・書いたところで、とんぶりってなんだ?と思っている方もいらっしゃるかと思うので付け加えますが、とんぶりは「ほうきぎの実」のことを言います。
とんぶりが食べられるようになったのは江戸時代で、秋田県が始まりとされています。
ちなみに、ほうきぎの茎は、干して庭ほうきの材料となります。
霜降 次候 霎時施
「霎時施(しぐれときどきほどこす)」
※「こさめときどきふる」とも読まれます。
時雨が降るようになる季節を、表しています。
見慣れない漢字もありますから、少し説明しますね^ ^
「霎」は、訓読みで「こさめ」と読みます。
普段使いの漢字で書くと「小雨」となり、秋に降る小雨で時雨を意味します。
「時」は「時々」と読まれていますが、意味が気になったので調べてみると、「季節のうつろい」とか「そのころ」「おり」という意味を持っていることが解りました。
最後に残ったのは、「施す」です。
「施」には、「ゆきわたらせる」という意味があります。
秋の初時雨は、人だけでなく動物たちにとっても、冬支度を始める合図となる雨です。
このあたりから、「冬が近いよぉ~!」と皆に知らせるというような意味で、この漢字が使われたのではないかというのが個人的な解釈です。
話は変わりますが、この頃は何がおいしいのかなぁ~?と探してみたら、モクズガニが旬の時期ど真ん中を迎えていました。
モクズガニは、古くから美味しいカニとして重宝されてきたものです。
カニ好きな方でしたら濃厚なカニみそが魅力かとは思いますが、この頃にメスだけが抱えている内子!これがまた絶品です♪
霜降 末候 楓蔦黄
「楓蔦黄(もみじつたきばむ)」
※「もみじつたきなり」とも読まれます。
楓や蔦が色づく季節を、表しています。
秋も深まり山々も綺麗に色づく頃ということは、言うまでもありません。
あ・・・
もしかして、楓じゃなくて紅葉なんじゃない?なんて思ってはいませんか?
楓と紅葉は別のもののように思われがちですが、どちらもカエデ科カエデ属の植物で、植物分類上は区別されていません。
一言で説明するとすれば、楓という大きな括りの中に紅葉があります。
もっと詳しく書きたい気持ちは山々なのですが、季節の話から離れてしまいそうですので割愛させていただきますm(_ _)m
詳しいところを知りたい方のために、こちらの記事をご紹介いたします。
⇒「紅葉(コウヨウ)と紅葉(モミジ)、カエデとモミジの違いは?」
そして、紅葉の時期といえば、古くから根付いている行楽は紅葉狩りです。
四季がはっきりしている日本には、各地に名所と言われる場所があります。
遠くに足を運ぶも良し、ちょっとした合間に近くの紅葉を愛でるのもまた良し♪
綺麗に色づいた木々を眺めながら、ゆっくり散策するうちに自然とリラックスしている自分がそこにいるかもしれません。
日々、雑踏に紛れている現代人にとって、自然と触れ合う時間はいろんな意味で必要ではないのかな?と思っているところです。
2024年の霜降はいつ?
ひとことで霜降と言う場合、ほとんどは霜降の日(霜降の期間最初の日)を指しますが、時としてその期間を指すこともあります。
霜降は毎年10月23日頃に訪れ、その期間は、霜降の日から冬の始まりを告げる立冬の前日までとなります。
今年(2043年)は?というと、霜降の日は10月23日で、その期間は10月23日~11月6日です。
ご参考までに、来年(2025年)の霜降の日は10月23日、期間は10月23日~11月6日と、今年と同様になっています。
これは霜降に限った事では無いのですが、二十四節気での節目の日や期間は毎年同じ日が続く年もあれば前後する年もありますのでご注意ください。
最後に・・・
この記事の締めくくりに、「山粧う」という言葉をご紹介したいと思います。
「粧」には、「よそおう、つくろう、めかす、よそおい」という意味があり、「やまよそおう」と読みます。
これは、秋の山が紅葉する様子を表す言葉です。
「緑色だった山が、紅葉の時期になり赤や黄色に染まる」
そんな季節の移ろいを、一言で表現するこの言葉はとても素敵だと・・・。
《参考》
旧暦で楽しむ日本の四季 二十四節気と七十二候 / 別冊宝島編集部編
日本の七十二候を楽しむ-旧暦のある暮らし- / 白井明夫(文)・有賀一広(絵)
漢字一字 / 漢字ペディア
『紅葉(コウヨウ)と紅葉(モミジ)、カエデとモミジの違いは?』/ RICHO Communication Club
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