立春は、暦の上で春を迎えた日となります。
まだ寒いのに春?と感じる事もあるかと思いますが、そんな疑問は、こちらの記事で解決していただく事として・・・

ここでは、二十四節気や七十二候の観点から、改めて立春の意味や季節を見ていきたいと思います。
二十四節気 立春の意味とは?
例によって・・・ではありますが、二十四節気の解説書として用いられる「こよみ便覧」の言葉から立春の持つ意味を紐解いていきます。
こよみ便覧にある立春の記載を見ると、「はるの気たつをもってなり」とあります。
※実際の記載を確認したい場合はこちらからどうぞ⇒「こよみ便覧」(コマ番号は7です)
この言葉の意味は、そのままでも伝わるかもしれません。
ただ、今の言葉に置き換えることで、もう少し解り易くしたいと思います。
こよみ便覧の記載に、少しだけ手を加えると、こうなります。
「春の気立つをもって(立春)なり」
春の気は、春の気配や春の兆しという意味です。
そして春の気が立つわけですから、「春の気配(兆し)を感じる」もしくは「春の気配(兆し)が現れる」と取ることができます。
※ここでの「立つ」は、自然界の現象・作用が目立って現れるという意味を持っています。
ここまでくると、あなたの中でも現代語での文章が浮かんできているのではないでしょうか。
個人的な解釈をお伝えするならば、「春の気配を感じ始める時をして立春とする」と、させていただきます。
立春はどんな季節なの?
さて、ここからは七十二候の言葉を借りて、立春の季節を見ていきたいと思います。
七十二候では、立春の期間を「初候・次候・末候」と三つの期間に分けたうえで、それぞれに季節を表す言葉を付しています。
それでは、初候から順にどうぞ^ ^
立春 初候 東風解凍
「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」
※「とうふうこおりをとく」「とうふうかいとう」とも読まれます。
東から吹く温かい風が、厚い氷を解かし始める季節を表しています。
ここでの東風は春風を指しており、凍は厚い氷を意味します。
さて、春の風と聞いて思い浮かべるのは春一番でしょうか。
春一番は、立春から春分の間に吹く強い南風のことをいいます。
話は変わりますが、この頃に旬を迎えているのが白魚です。
新鮮なものでしたら、刺身やお寿司でもおいしくいただく事ができますが、それだけではありません!
白魚は、熱を通すとおいしいだし汁が出ますので、卵とじもおススメです。
立春 次候 黄鶯睍睆
「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」
鶯の美しい声が、響き始める季節を表しています。
ところで、この「黄鶯睍睆」という漢字四文字は、意味不明だと思いませんか?
黄鶯は、本来コウライウグイスを指すものなのですが、なぜか日本にはいない種類の鶯になります。
※七十二候は中国から伝わったものであるため、そのまま用いられたのだろうという推測が成り立ちます。
それよりもっと馴染みのないのが、「睍睆」でしょう。
読みは「けんかん」で、「鳥の声が清らかなさま」という意味を持っています。
もし、もっと詳しく知りたいという場合は、こちらの記事が参考になります。
⇒「■黄鶯睍睆、春を告げる「黄鶯」の正体は?」
そして、鶯とセットになることの多い花といえば梅ですが、ちょうどこの頃から見頃を迎えます。
ほんのり漂ってくる梅の香りに気が付くと、なんとなくほっこりした気持ちになるものです。
また、鶯は「春告げ鳥」とも呼ばれますが、「春告げ魚」と呼ばれる魚もあります。
それは、ニシンです。
あ・・・もしや、ご存じで・・・www
この時期に旬を迎えているニシン!
数の子が入ったニシンをゲットしたい場合は、持った時に重みを感じるものを選ぶと当たる可能性が高いです。
立春 末候 魚上氷
「魚上氷(うおこおりをいずる)」
※「うおこおりにあがる」とも読まれます。
割れた氷の間から、魚が飛び出る季節を表しています。
って・・・どうでしょう。
日本では見ることのない光景ですから、どうもしっくり来るものが無いように感じませんか?
そこで、もう少し日本の季節らしい言葉にしてみました。
「水もぬるみ、薄くなった氷の下に魚の泳いでいる姿が見える頃」
冬は厚い氷に閉ざされていた湖や川の氷が解けて薄くなり、それまで水底に姿を潜めていた魚たちが水面で泳ぎ始める季節、と解釈したところです。
さて、この頃から日本各地では渓流釣りが徐々に解禁されます。
趣味をお持ちの方は、気持ちがソワソワする頃かもしれません。
イワナ・ヤマメ・ウグイと、渓流釣りのシーズンは、夏まで続きます。
最後に・・・
暦の上では春が来たといっても、立春の頃は、まだまだ寒い日が多い時期です。
そんな、立春の後に残る寒さを表す言葉をご紹介いたします。
ひとつは「春寒」もうひとつは「余寒」です。
春本番まで、もう少し!
桜の花も、待ち遠しいところです^ ^
《参考》
現代こよみ読み解き事典 / 岡田芳朗 阿久根末忠 編著
旧暦で楽しむ日本の四季~二十四節気と七十二候~ / 別冊宝島編集部編
日本の七十二候を楽しむ-旧暦のある暮らし- / 白井明大 有賀一広
黄鶯?睆、春を告げる「黄鶯」の正体は? / こよみのページ
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