ふと夜空を見上げると、そこにはいつもお月様があります。
真ん丸に見えるんだけど、これって満月?
とか
今日は綺麗な三日月だわぁ~!
とか
なんだか、お月様が霞んでいるから朧月ね。
というふうに、お月様はその時によって違う表情を見せてくれます。
ここで、何か気付きませんか?
あ!と閃いたあなた!きっと、当たっていると思います^ ^
気付いて欲しかった事は、お月様の呼び方が見え方によって違うということです。
実のところ、お月様は昔から様々な名前で呼ばれてきました。
暦にも、満月の他に、上限・下限・新月という記載があります。
このように、お月様を様々な名前で呼ぶようになった事には、月の満ち欠けが絡んでいます。
月の満ち欠けとは?
月の満ち欠けとは?って・・・説明されなくとも、そのくらい解りますよぉ~という声も聞こえてきそうですが、少しだけお付き合いください。
月は地球の周りを公転していることと、自ら光を放ってはいないことは、ご存じかと思います。
自ら光を放たない月が光っているようにみえるのは、太陽の光を反射しているからです。
そして、どの部分を太陽に照らされているかによって、地球上では月の形が違って見えます。
月の形と太陽の関係は、
- 月と太陽が同じ方向にあれば、形見えない新月
- 月と太陽が直方にあると、半月(上限もしくは下限)
- 月と太陽が反対方向になった時は、満月
という具合になりますが、このような月の形の動きを以て月の満ち欠けと言います。
※月の満ち欠けは、月の位相とも言われます。
月の満ち欠けで変わる月の名前!その由来や意味は?
お待たせいたしました。
ここからは、月の満ち欠けによって違う月の名前についてお届けいたします。
いつ頃の月を、何という名前で呼んでいるのか?主に呼ばれている名前をあげてまとめました。
それでは、旧暦において1か月の始まりとなる朔日に見える新月から、順を追ってみていきましょう。
新月(しんげつ)
旧暦で、毎月第一日目の月を指して新月といいます。
「新月は、朔のこと」
こういった説明を、あちこちで見かけます。
朔は月と太陽の視黄経が等しくなる、または等しくなった時刻のことを表すもので、現代では新月と同義とされています。
朔のことを新月と呼ぶのは、西洋天文学で朔のことを「New Moon」と呼ぶところから来ているそうです。
また、新月は三箇月とも呼ばれているようですが、こちらの理由は調べがつきませんでしたm(_ _)m
ただ、もしや?と思った事があります。
新月の時には、太陽・地球・月が一直線に並ぶため、残念ながら空を見上げても、月の姿を確認することができません。
古くには、朔を過ぎてから初めて見える細い月を、新月と呼んでいた時期があったそうです。
この初めて見える細い月は「三日月」になることから、「三日月=三箇月」ではないのかな?と想定してみました。
二日月(ふつかづき)
二日とあるだけに、きっと想像が付いているかとは思いますが、旧暦で毎月第二日目に出る月のことをいいます。
また、すでに朔を過ぎたという意味の、既朔と呼ばれることもあります。
日没後1時間以内のまだ明るい空に、細ーい月がみえることがありますが、新月同様、肉眼で確認することは難しい月です。
三日月(みかづき)
三日月は、みなさんよくご存じですね^ ^
旧暦で毎月第三日目に出る月を呼ぶもので、細い弓なりの月を肉眼でも確認することができます。
現代では、あまり見かけることが無いように思いますが、「みかづき」と読む漢字がもうひとつあります。
「朏」です。
月が出ると書くこの漢字は、月の姿が初めて見えることを表したもので、本来は「初めてとばりを開いて姿を出す」という意味をもっているのだそうです。
三日月には異名がいっぱい!
古い時代において、三日月は様々な呼び方で呼ばれていました。
- 眉月=女性の眉に似た形をしているから
- 初月=初めての月
- 若月=生まれたての月
- 蛾眉=蛾の眉のような形の月
- 彎月=弓を引いたような月
解りやすいものを5つ並べてみましたが、他にも「始生魄・哉生明・朏魄・磨鑛・繊月・虚月」など、まだまだあります。
もしかして、蛾眉が気になってはいませんか?
蛾眉には、以下の意味があります。
がび【蛾眉】
① (蛾の触角のような形の)細く美しい眉まゆ。
② 美人。
③ 三日月。眉月。
※コトバンクより
これで、納得していただけたのではないでしょうか。
たくさんある三日月の異名は、初めて目に見える月を表したものや、その形を形容したものになっているようです。
上弦の月・七日月
旧暦で、毎月第七日目・八日目に出る月のことを言い、右半円状に西半分が輝いて見えます。
「上弦」は、半月に輝く月を弓に見立てて、月の入りの際に、その弦に当たる部分が上を向いているところからきています。
十三夜月・十三日月
旧暦で、毎月十三日目に出る月を指しています。
十三夜・・・どこかで聞いたことがありませんか?
十三夜月の中でも、特に旧暦9月13日の月は、十五夜に次いで美しい月とされ「のちの月」と称されています。
あれ?何か疑問がおありでしょうか?
「のちの月」は「後の月」とも書かれますが、何の後の月なの?と思ったりはしていませんか?
何の後かというと、十五夜の後なのですが、これもおかしいと思われても不思議ではありません。
だって、数字の順番からいくと、13より15のほうが後にくるものですからwww
まどろっこしい説明は抜きにして、この件はサクッと解決したいと思います!
お月見が行われる「十五夜」は、旧暦8月15日の月です。
「十三夜」は旧暦9月13日の月ですから、十五夜の後の月で「のちの月」となります。
ご理解いただけましたでしょうか?!
小望月・十四日月
旧暦で、毎月十四日目に出る月のことを言います。
小望月は、望月(十五日月)の前夜に出る月であることから、そう呼ばれるようになりました。
また、望月に近い(幾)月という意味で、幾望とも呼ばれます。
※幾には、「ほとんど・ちかい」という意味があります。
満月・十五日月
満月は、さすがにご存知ですよね?!
お察しのとおり、旧暦で毎月十五日目に出る月になります。
夜空に輝く、真ん丸の月!
たまたま空を見上げたら、あれ?満月??!!と思う日があるかもしれません。
中でも旧暦8月の十五夜には、今でもお月見の行事を行うご家庭も多いのではないでしょうか。
満月の夜には、旧暦8月に限らずとも、古くから多くの行事が行われてきました。
十六夜・十六日月
旧暦で毎月十六日目に出る、満月が少し欠けたような形をしている月のことです。
「じゅうろくや」と書く「いざよい」は、「ためらう」「躊躇する」という意味を持つ「いざよう(いさよう)」からきていると言われています。
十六夜の月は、前日の満月と比べると、月の出が40分~1時間程度遅くなることから、月が出るのをためらっていると見立てて名付けられたのだそうです。
立待月・十七日月
旧暦で、毎月十七日目に出る月をいいます。
この日の月は、夕方に月の出を立って待っていると、さほど疲れないうちに姿を現すことから「立待月」という名前が付けられました。
夕暮れに月の出を立って待つなんて、今では考えられないことではないでしょうか。
しかも、この日の月の出は、日没からおおよそ1時間40分後となりますから、ずーっと立っていたのでは疲れて当然だろうに・・・と思わずにはいられません。
居待月・十八日月
旧暦で、毎月十八日目に出る月を呼ぶものです。
立待の次の日が居待ですから、なにげにピンときた方もいらっしゃるかもしれませんが・・・
十八日目の月は、十七日目の月よりも月の出の時間が遅くなるために、座って待っているところから、そう名付けられました。
寝待月・十九日月
旧暦で、毎月十九日目に出る月を指して呼びます。
ここまで似て非なる呼び方が続くと、寝待月と呼ばれるようになった理由は、もうお察しが付くのではないでしょうか。
座って待つには待ちきれないほど月の出が遅くなるので、寝て待つというわけです。
この日の月の出は、日没からおおよそ4時間後になります。
更待月(ふけまちづき)・二十日月
旧暦で、毎月二十日目に出る月のことを・・・と、もう書かなくともお察しいただいているかと思います。
しかも、更に待つ月と書きますから、もっと待つんだろうなぁ~という想像も働いているのではないでしょうか。
ご想像のとおり、この日の月が姿を現すのは、季節によって若干のずれはありますが、9時半~10時頃と遅い時間になるので、日没からはかなり待つことになります。
あらためて、更待月の読みを確認してみてください。
「更」の読み方は、「さら(に)」ではなく「ふけ」です。
更待月は、月の出る時間が夜も更けてからになることから付いた呼び名になります。
下限の月・二十三日月
旧暦で、二十二・二十三日目に出る月のことを言い、東半分が輝いて見えます。
下限の月のいわれは、月の入りの際に弦が下を向いているところからきています。
満月から新月になるまでの中間くらいに当たる月で、月の出は真夜中(0:00頃)です。
上弦の月と下弦の月は、輝いて見える部分が
- 上弦=西半分
- 下限=東半分
と、相対するものになります。
注意してほしいのは、この名前が「月の入り」の時の形からきているというところです。
「月の出」を見て判断すると、逆にとらえてしまう可能性があります。
その理由は・・・こちらの記事にわかりやすい図がありますので、よかったらご覧ください。
⇒「上弦の月と下弦の月はどう見える?」
三十日月(みそかづき)
旧暦で、毎月三十日目に出る月のことですが、月の位置が太陽に近すぎるため、その姿を見ることはできません。
この日の月にも、いくつか別の呼び方があります。
その中のひとつが、「晦」です。
「つごもり」は、月の姿が隠れて見えなくなるという意味の「月隠り」が転じたものになります。
さて、あえて平仮名で書きますが、「みそか」と「つごもり」は、月の名前以外でも聞いたことがありませんか?
各月の最後の日を「晦日」といったり、大晦日を「おおつごもり」ということがあります。
もしかしたら、旧暦の時代に興味がない方は、ご存じない呼び方かもしれませんが・・・m(_ _)m
こういった呼び方は、三十日月を晦と呼んだところからきています。
最後に・・・
月の満ち欠けによる月の名前は以上になりますが、この他に、ある一定の期間や時間に出る月を呼ぶ名前がありますので、そちらを紹介してこの記事を閉じたいと思います。
①有明月(有明の月)
旧暦で十六日目以降に出る月で、夜が明けても空に残っている月の総称です。
※二十六日目の月を指して呼ぶ場合もあります。
②夕月
こちらは、読んで字のごとく、夕方に見える月を言います。
有明月も夕月も、古くから趣深いものとされており、和歌にも多く詠まれています。
《参考》
現代こよみ読み解き事典 / 岡田芳朗 阿久根末忠 編著
月の位相/満ち欠け / 暦Wiki 国立天文台
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