※2024管弦祭について
(2024.5.13)
管弦祭は昨年より通常開催されていますが、今年は行事の執り行われる時間が、昨年より1時間遅れとなっています。
以下、時間帯を修正しています。
なお、関連行事につきましては、近日中に変更いたします。
(2024.5.15)
ちょうちん行列及び関連情報を、2024年へ変更しました。
詳細については、公式HPへのリンクをご案内しています。
(2024.6.22)
今年の管弦祭は、行事を執り行う時間が例年より1時間早くなっていることが解りましたので、取り急ぎ修正いたしました。
その祭りは、まるで平安時代にタイムスリップしたような光景が、目の前に広がります。
このたったひとつだけの文章を読んで、あなたはどんな祭りを思い浮かべたでしょうか。
古くから現在まで受け継がれている祭りは、日本各地に点在していますから、平安時代を思い起こすような祭りと言われて浮かんでくるお祭りもひとそれぞれだと思います。
ただ、ほとんどの祭りにおいて、神輿渡御などの行列が行われるのは陸上です。
当たり前と言ってしまえば、それまでかもしれませんが、日本には海や川もあります。
それこそ遠い昔から、深く関わってきたからなのでしょう。
祭りの中には、船を使った神事を行うものが存在します。
日本三大船神事として、
- 大阪天満宮の天神祭
- 厳島神社の管絃祭
- 城山稲荷神社のホーランエンヤ
が挙げられています。
この中から、今回取り上げるのは厳島神社の管絃祭です。
海上に平安絵巻が繰り広げられると言われている管絃祭とは、どんな祭りなのでしょうか?
まずは、その歴史からご覧ください。
もし、今年の日程や見どころを知りたい!とお急ぎの場合は、恐れ入りますが、もう少し下の方へお進み頂ければと思います。
管絃祭とは?どんな歴史があるの?
管絃祭の始まりは、平安時代にまで遡ります。
その当時、都(平安京)に住む貴族の間では「管絃の遊び」という、川や池に船を浮かべて楽器を奏でる優雅な遊びが行われていました。
時は久安2(1146)年、平清盛が安芸守となります。
※安芸守:安芸の国の守で、守は現在でいう県知事を指します。
在任中に、厳島神社を再建し現在の形にしたことは、ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
管絃祭
もまた、平清盛が厳島神社への信仰を深め、厳島神社の祭神を祀るために行ったものと言われています。
ここで、気になった事がひとつ!
平清盛が厳島神社への信仰を深めたのはなぜ?という事です。
このまま素通りすることもできますが、ずーっとモヤモヤしそうでしたので、思い切って調べてみました。
平清盛が厳島神社への信仰を深めた出来事とは?
そのきっかけは、高野山根本大塔の再建時にありました。
久安5(1149)年のこと、現、高野山金剛峯寺は、根本大塔への落雷が原因で、御影堂を覗いて全焼します。
寺社の再建にあたり、再建奉行を務めたのが、当時、薩摩藩主だった平忠盛(平清盛の父)です。
※この頃も、平清盛は代官として高野山を訪れたそうです。
ところが、残念なことに、平忠盛は事半ばにしてこの世を去ってしまいます。
※平忠盛:久安9(1153)年に没す。
その後、鳥羽院の命により高野山再建を引き継いだのが、当時、安芸守に就いていた平清盛であり、6年という長い歳月をかけて高野山根本大塔を再建したと言われています。
さて、根本大塔の再建を終えた平清盛が、改めて高野山へ上り奥の院へ参詣した時のこと・・・
白髪の老僧がどこからともなく現れ、大塔修築のお礼と共に「今、安芸の厳島神社が荒れ果てているので修理しなさい。そうすれば、あなたに高い官位を約束しよう。」という事を告げました。
言葉を告げ終えると、老僧は奥の院の方へ歩いて行ったのですが、かき消すように見えなくなってしまい、老僧の立っていた場所からは、良いお香の薫りが漂ってきたのだそうです。
その時、平清盛は「今の方は、弘法大師(空海)に違いない!」と思いました。
このお告げがきっかけとなり、平清盛は厳島神社の修理を進めます。
それは、新たに社殿を起こして鳥居を建て替え、回廊を造るという大規模なものでした。
すべての修理を終えた後、厳島神社の社殿に籠っていた平清盛はこんな夢を見ます。
厳島大明神の使いと名乗る天童が現れて、「お前はこの剣で天下を鎮め、朝廷の守りとなりなさい」というと、銀の蛭巻をした小長刀を平清盛にさずけました。
平清盛が目覚めると、その枕元には、夢で授かった小長刀と同じものが立っていたのです。
それだけでは、ありません!
厳島大明神が現れ、「お前は知っているか、忘れてしまったか、高野山である老僧に言わせたことを。但し悪行をすることがあれば、繁栄も子孫までは続かないぞ。」と告げて立ち去りました。
この事があってからというもの、平清盛の官位はどんどん上がり、それと共に厳島神社への信仰を深めていったということです。
すみませんm(_ _)m 寄り道が長くなってしまいました。
ここからは、管絃祭の歴史に話を戻します^ ^
管絃祭の移り変わり
先にも書きましたが、管絃祭は平清盛が安芸守在任中に始まりました。
厳島神社への信仰心から、その祭神を祀る神事を行う上で、都で行われていた管絃の遊びを取り入れたものと言われています。
※管絃とは:笛・笙・笳の三管、太鼓・鞨鼓・鉦鼓の三鼓、和琴・琵琶・筝の三絃を指します。
その昔、宮島(厳島)は神聖な場所とされていて、人が住むことは許されておらず、厳島神社で神事を行う際は、対岸にある地御前神社から神職が渡っていました。
平清盛が管絃祭を始めた頃も同様でしたので、神様が乗る御座船は地御前神社から出発していたそうです。
安芸の宮島と呼び親しまれている宮島ですが、正式名称は厳島です。
厳島神社(お宮)のある島いうことで、宮島と呼ばれるようになりました。
宮島に人が住むようになったのは、鎌倉時代末期~南北朝時代以降とされ、室町時代から戦国時代にかけては、瀬戸内海の中継地として発展していきました。
このころになると、御座船は厳島神社から出発して対岸に渡ったのち厳島神社に帰って来るという、現在と同じコースを取るようになります。
さらに、変化してきたものは、海上渡御のコースだけではありません。
御座船
そのものも、元々はとても大きな一隻の船で、櫓が6つも付いており、当然ですが手漕ぎで航行していました。
現在の御座船は、3隻の船を横一列に繋いで1隻の船としていて、江波漕伝馬船と阿賀町漕船が曳航する形をとっています。
※御座船が曳航されるようになったのは、元禄16(1701)年以降とされています。
また、御座船にお供する御供船(おともぶね・おともんぶね)も、過去には相当な数がありました。
その多さは、肝心の御座船がどこにいるのか解らなくなるほどだったと伝えられています。
2024年 管絃祭情報!
たいへん長らく、お待たせいたしました。
ここからは、管絃祭の日程や見どころなど、祭りに関する情報をたっぷりお届けいたします。
これ以上の前置きはナシで、さっそく進めていきますね^ ^
管絃祭 2024年の日程!
管絃祭は、毎年旧暦6月17日(大潮の日)に行われます。
今年(2024年)の開催は、7月22日(月)です^ ^
管絃祭の行事と時間
◎発輦祭 15:00
本社社殿において、雅楽を奉納し祝詞秦上した後に、御祭神を御鳳輦に遷します。
◎御本殿出御 16:00
厳島神社の火焼前から、御鳳連を大鳥居沖の御座船まで運びます。
◎大鳥居前の儀 16:40
御座船に御鳳連を載せたあと、神事を行います。
◎火立岩 18:00
御座船は船内で管絃を奉奏しながら、対岸の地御前神社へ向かいます。
その途中、火立岩沖で一旦船を停めて、潮が高くなるのを待ちます。
◎地御前神社 19:20
潮が満ちる頃、御座船の基に地御前神社からの御迎船が来ます。
御迎船を水先人として地御前神社前に到着すると、船上で管絃が奉奏される中、浜辺において祭典が行われたあと、御座船を三匝(3度回ること)し、長浜神社へと向かいます。
◎長浜神社 20:40
長浜神社ではかがり火が焚かれ、海岸には提灯を持った人々が並び御座船を出迎えます。
ここでも、祭典が行われた後、御座船を三匝し大元神社へと向かいます。
◎大元神社 21:30
大元神社においても、祭典を行い管絃を奉奏して、御座船を三匝します。
◎火焼前 22:10
御座船が大鳥居をくぐり入ってくると、管弦を奉奏します。
◎客神社前 22:30
祭典と管絃の奉奏が行われた後、御座船は回廊の枡形に向かいますが、この時ばかりは、水棹を使って手漕ぎで進みます。
狭い枡形に入ると、御座船を三匝しながら管絃を奉奏します。
◎御本殿還御
23:00
御座船が再び火焼前へ戻り、御鳳連は本社社殿へ還御します。
と・・・文字だけでは解りにくいかと思いますので、管絃祭の流れが解るこちらの動画をご覧ください。
管絃祭の見どころは?
管絃祭の見どころを何か一つ!と言われれば、やはり祭りのクライマックスでもある、枡形で行う御座船の三匝でしょう。
ただ、この事はたくさん紹介されていますので、ここでは長浜神社のちょうちん行列をご紹介したいと思います。
ちなみに、ちょうちん行列は神事ではなく、管絃祭に伴って行われる祭事ということを申し添えます。
長浜神社のちょうちん行列とは?
長浜神社では、地御前神社から厳島神社へ帰る御座船を提灯の灯でお迎えするちょうちん行列が行われています。
行事の流れは、
- 参加者全員に提灯を配布する
- 採火式(提灯に灯をともす)
- 御座船を提灯の灯で出迎える
- 提灯を持って、長浜神社から表参道商店街を通り厳島神社へと向かう
- 厳島神社本殿において、お祓いを受ける
となっています。
お祓いを受けた後、暫くすると厳島神社に御座船が戻ってきますから、管絃祭のクライマックスをご覧いただくことも可能です。
ちょうちん行列はどなたでも無料で参加する事ができます。
※ちょうちん行列に参加したい方へ
今年のちょうちん行列は、7月22日(月)に開催されます。
長浜神社において、ちょうちんの配布が開始されるのは20:00~、採火式が21:00~となっていますので、頃合いを見計らって神社へ出向いていただくといいかと思います。
また、以前は配布された提灯を持ち帰ることができたのですが、今年からは、翌年に再利用するため回収ようになるそうなので、この場にてお伝えいたします。
公式HPでのご案内はこちら ⇒「ちょうちん行列」
あれ?これじゃぁ、見どころじゃなくて参加じゃん!
という声が上がっていそうですが・・・
ちょうちん行列は、御座船をお迎えしたらお終いではないということを知って欲しかったので、あえて書かせていただきましたm(_ _)m
で・・・何をして見どころなのか?というと、ちょうちん行列を船上から見た時の光景がとってもきれいなんです♪
ちょうちん行列を船で観覧するには?
管絃祭には、貸切船で祭りを船から観覧する事ができる企画があります。
船の出航時間やコースによって、Aコース・Bコースと2つのコースが設けられているのですが、長浜神社のちょうちん行列を見ることができるのはBコースのみです。
この企画への参加は、あらかじめの予約と参加費用が必要になります。
簡単に手順をまとめると、始めに、宮島観光協会(TEL:0829-44-2011)へ予約の電話を入れてください。
その後、参加費用を送金(振込・現金書留・郵便小為替)すると、入金確認後に参加券が発送されるという具合です。
ちなみに、Bコースの参加費用は、大人3,500円、子供2,500円となります。
また、海上観覧船の乗船予約は、受付開始が例年管絃祭開催日の2ヶ月前からとなっているのでご注意ください。
今年の予約受付開始日は、5月22日(水)9:00~となっています。
管絃祭船上観覧についての詳しい情報は、こちらでご確認いただくことができます。
⇒「厳島平安絵巻”管弦祭”を船上から見よう!あなたも平安気分」
管絃祭(宮島)へのアクセス
管絃祭の開催場所は、厳島神社と周辺の摂社となります。
※摂社:本社(ここでは厳島神社)に付属し、その最新と縁の深い神を祀った社のこと
まずは、厳島神社と御座船が立ち寄り祭典を行う摂社の場所を、地図でご確認ください。
※厳島神社:赤、地御前神社:オレンジ、長浜神社:緑、大元神社:紫
なお、ここでのアクセス情報は、厳島神社のある広島県への入口となる場所(Ex:JRであれば広島駅)から、厳島神社までのご案内とさせていただきますので、あらかじめご了承ください。
電車でお越しの場合
◎「JR広島駅」山陽本線(約29分)→「JR宮島口駅」徒歩(約3分)→「宮島口フェリー乗り場」フェリー(約10分)→「宮島」徒歩(約12分)
◎「広電広島駅」広電宮島口行(約1時間15分)→「広電宮島口駅」徒歩(約3分))→「宮島口フェリー乗り場」フェリー(約10分)→「宮島」徒歩(約12分)
広島は路面電車が走っていて、それが広電(広島電鉄)なのですが、移動には随分と時間がかかります。
もし、時間に余裕があるとしたら、広島の街並みを眺めながら、宮島までの旅をゆっくり楽しむのもいいかもしれません。
そして、フェリーですが、こちらはJR宮島連絡船と宮島松大汽船の2社が運航しています。
管絃祭催行日は通常時と別の運行ダイヤが組まれていますので、お手数ですが、それぞれのホームページでご確認ください。
JR宮島連絡船 ⇒「時刻表(管弦祭ダイヤ)」
宮島松大汽船 ⇒「特別運航時刻表」
飛行機でお越しの場合
◎「広島空港」リムジンバス(約45分)「JR広島駅」山陽本線(約29分)→「JR宮島口駅」徒歩(約3分)→「宮島口フェリー乗り場」フェリー(約10分)→「宮島」徒歩(約12分)
◎「岩国空港」いわくにバス(岩国錦帯橋空港→岩国駅→日の出町車庫・錦帯橋方面(下り)、約12分)→「JR岩国駅」山陽本線(約30分)→「JR宮島口駅」徒歩(約3分)→「宮島口フェリー乗り場」フェリー(約10分)→「宮島」徒歩(約12分)
車でお越しの場合
◎広島岩国道路「大野IC」~ 県道289号線 ~ 国道2号線 ~ 県道43号線(約17分)→「宮島口フェリー乗り場」(約10分)→「宮島」徒歩(約12分)
ここで、あれ?と思った方は、いらっしゃいませんか?
宮島に着いてからのご案内が「徒歩」ですから、車で行きたいのになんで?と疑問を感じたかもしれません。
実のところ、宮島島内にある駐車場は無料なのですが、フェリー料金を考えるとフェリー乗り場近隣にある有料駐車場に停めた方が安く上がります。
そればかりか、
- 宮島島内の道路は、速度規制が30K
- 厳島神社周辺道路は、10:00~17:30まで車両通行禁止
- 主要道路は、駐車禁止
となっており、車を持ち込むと、逆に大変な思いをすることになりかねません。
そんなわけで、フェリーを降りてからは「徒歩」でのご案内をさせていただきました。
フェリー乗り場近隣駐車場の情報は、こちらをご覧ください。
⇒「宮島口駐車場情報」
管絃祭当日の交通規制情報!
それでもやっぱり、車で宮島へ行きたい!!という方にとって、一番気になるのが交通規制ではないでしょうか。
管絃祭当日に行われる交通規制は、長浜神社のちょうちん行列に伴うものがあり、
【交通規制区間】
長浜神社~宮島表参道商店街(清盛通り)~厳島神社入口
【規制時間】
※2024については、現在調査中です。
となっています。
最後に・・・
宮島は、厳島神社が世界文化遺産に登録されていることもあり、日本屈指の観光地となっています。
が・・・
古くには神々の住む島としてあがめられ、現代においては法律により保護されているため、歴史的建造物や手付かずの自然が残されている貴重な場所です。
もし、時間が許すようであれば、島内をゆっくり散策してみてはいかがでしょうか。
宮島の魅力やおススメの散策コースなどは、こちらのホームページでたっぷりご案内していますので、よろしければご覧になってみてください。
⇒「一般社団法人宮島観光協会」
《参考》
空海と高野山:世界遺産・天空の聖地・開創1200年 / PHP
大塔建立(高野山壇上伽藍) / 平家物語・吉留根伝説の史跡を巡る 鶴岡八幡宮
宮島管絃祭 / 瀬戸内和船工房
嚴島神社等の観光施設や歴史・自然をご紹介 / 一般社団法人宮島観光協会
2012年管弦祭 / ダイドードリンコ 日本の祭り
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