古くから伝わる日本の風習の多くに、その日に食べるといいとされる食べ物が存在します。
それらは「行事食」と呼ばれ、それぞれ何かしらの意味を持つ食べ物です。
当然ひな祭りも類に漏れずで、行事食が存在しています。
そこで、質問です!
ひな祭りに食べる食べ物は?
と、聞かれたら、何を思い浮かべますか?
きっと多くの方から「ちらし寿司」という答えが返ってくるかと思います。
それでは、もう一つ。
ちらし寿司以外の食べ物といえば、何があるでしょうか?
こうなると、意外と出てこないものかもしれません。
そんなわけで、今回はひな祭りの行事食と言われている主な食べ物と、その食べ物の意味をお届けいたします。
ひな祭りに食べる食べ物で、ちらし寿司以外ってなんかあったっけ?と悩んでいる方も
もしかしたら、あれかなぁ~?なんて、なんとなく目安がついている方も
どうぞ、最後までお付き合いください^ ^
ひな祭りの食べ物は?どんな意味があるの?
ひな祭りは、毎年3月3日に行われている、女の子の健やかな成長を祈る行事です。
食べ物も、古くから伝わるお祝い料理があります。
食材には春の旬のものが使われており、それぞれの料理や色には縁起のいい意味が込められています。
ひな祭りの行事食は、どんなものがあるのかというと
- ちらし寿司
- はまぐりのお吸い物
- 菱餅
- ひなあられ
- 白酒
この5つが、一般的です。
さっそくですが、ひとつずつどんな意味を持っているのか見ていきましょう。
ひな祭りの食べ物① ちらし寿司
ひな祭りといえばちらし寿司!
というくらいに、ひな祭りの食べ物として定番化しているちらし寿司ですが、もともと祭礼の日の料理として作られることが多かったもので、ちらし寿司そのものにいわれはありません。
えっ?じゃぁなんで???
ですよね^ ^;
実は、ちらし寿司としてではなく、使われている具材に意味があります。
主な具材を上げると
- 海老 腰が曲がるまで長生きしますように
- れんこん 将来の見通しがいい
- 豆 健康で、まめに働き、まめに生きる
- 椎茸 元気・壮健を願う
という具合です。
「すし」は、一般的に「寿司」と書かれますが、この漢字には「寿を司る」という意味があり、縁起がいいもの、お祝いの席で食べるものという意味を持っています。
ひな祭りの食べ物② はまぐりのお吸い物
その昔、二枚貝は「お姫様」を意味していました。
中でも「はまぐり」は、二枚対になっている貝殻でなければピッタリと合いません。
このことから仲の良い夫婦を表し、一生一人の人と連れ添うようにという願いが込められています。
平安時代の貴婦人の間では、ハマグリの貝殻を使った遊びが行われていました。
一枚ずつに分けたハマグリの貝殻の内側に絵や文字を書いて伏せておき、神経衰弱のように合うものを探すという遊びです。
元々対になっていたものとしか合うことがないというハマグリの貝殻特徴を使って、貝殻の模様を合わせをしたのが始まりといわれています。
ひな祭りの食べ物③ 菱餅
緑と白とピンクの餅を3段に重ねて、菱形に切ったものが菱餅です。
お雛様にも、お飾りに混じって菱餅が供えられていますね^ ^
菱餅が、菱形になったのは江戸時代初期のことで、三色になったのは明治時代に入ってからになります。
それ以前は、緑と白の二色でした。
ちょっと、地味ですね^ ^;
それはさておき・・・
菱餅に使われている3つの色には、諸説ありますがそれぞれに意味があります。
主なものをまとめると
- 緑…長寿や健康、草萌える大地
- 白…清浄、純白の雪
- ピンク…魔除け、桃の花
となり、3色合わせての意味合いは、
「春近い季節、雪の下には緑の草が息づき始め、溶け掛かった雪の残る大地には、桃の花が芽吹く」
という、とても風情のあるものです。
また、緑色の餅にはよもぎ、白色にはひしの実が入り、ピンクの餅の色づけにはくちなしが利用されます。
それぞれ、よもぎには増血作用、ひしの実には血圧を下げる効果があり、くちなしには解毒作用があると言われています。
もしかしたらですが、菱餅には愛する娘の健康を願うという親心が込められていたのかもしれません。
ひな祭りの食べ物④ ひなあられ
その昔、「ひなの国見せ」という、雛人形を持って野山や海辺へ出かけてお雛様に春の景色を見せてあげるという風習がありました。
その時に、ごちそうと一緒に持って行ったお菓子がひなあられです。
ひなあられは、菱餅を外で食べることができるようにと、菱餅を砕いて作ったという話が残っています。
言われてみると、ひなあられは、菱餅と同じ3色ですね!
ひなあられの色は、
- 白:「大地のエネルギー」
- 赤(桃色):「生命のエネルギー」
- 緑:「木々のエネルギー」
を持っています。
ひなあられを食べることで自然のエネルギーを体内に取り込み、健やかに成長できますようにという願いが込められています。
ひなあられには白・黄色・桃色・緑と4色のものもありますが、この4つの色は四季を表していると言われています。
ひなあられは、関東と関西で全く違います!
【関東のひなあられ】
甘い味をつけたポン菓子の中に、緑とピンクに着色した粒が混じっています。
【関西のひなあられ】
直径1cmくらいのあられに、しょうゆや塩などで味を付けたものです。
ひな祭りの食べ物⑤ 白酒
もともとは、桃の花びらを漬けた「桃花酒」が飲まれていました。
桃は古くから、邪気を祓い、気力や体力の充実をもたらすと言われており、桃花酒は薬種の1つとして中国から伝えられました。
また、桃が百歳を表す「百歳」に通じることから、桃花酒を飲むという風習がありました。
桃花酒が白酒に変わり、定着したのは江戸時代です。
当時、白酒を売り出したのは「豊島屋酒店」(鎌倉市に現存)。
聞くところによると「豊島屋の初代の枕元にお雛様が現れて、おいしい白酒の造り方を伝授された」のだそうです。
この話が江戸中の評判となり、徳川将軍にも愛飲されるようになりました。
女性にも飲みやすい白酒は、桃の花との対比(赤(桃色)白)もめでたい!ということが手伝って、雛祭りのお酒として定着していきました。
とはいえ・・・
桃花酒や白酒は、大人の飲み物です。
ひな祭りの主役であるお子様には、ノンアルコールの甘酒がオススメです☆
≪参考≫
縁起の良い意味が込められたひな祭りお食べ物 / やずや 食と健康研究所活動レポート
ひな祭りの行事食 / 日々是活き生き-暮らし歳時記
ひなまつりに白酒をのむ理由 / 真多呂人形
菱餅とひな祭りの色の由来 / AllAbout 暮らし
室礼歳時記 雛祭りの室礼 / 室礼三千ん
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