突然ですが、クイズです!
「子供の成長や幸福を祈って行う行事」と言えばなぁ~んだ?
さて・・・
今、あなたの頭の中に、一番最初に思い浮かんだ行事は何ですか?
これは勝手な想像なのですが、多分「七五三」ではないでしょうか。
七五三は、男女によって違いはあれど、3歳・5歳・7歳で行う行事になります。
そんなことは、言われなくとも解ってます!
というくらいに、地域差も無く受け継がれている行事だと思います。
でも、残念ながら、今回取り上げる行事は「七五三」ではありません。
どんな行事かというと、「七五三」の時期より、もう少し成長してから行うものになります。
それは「十三参り」と言われます。
十三参りとは?
十三参りは、数え年で13歳になった男女が虚空蔵菩薩にお参りをすることで、福徳と知恵を授かる行事です。
「知恵参り」や「知恵もらい」とも呼ばれます。
虚空蔵菩薩は、広大な宇宙のような無限の知恵と慈悲を持った菩薩様です。
その功徳は、智恵や暗記力だけでなく、あらゆる財宝を得られる功徳や所願成就の功徳があるとされています。
※功徳:神仏の恵み。御利益。
また、丑年と寅年の一生一代の守り本尊であると共に、十三回の追善供養(一周忌~三十三回忌)を司る仏様(十三仏)の中では、最後の三十三回忌の本尊でもあります。
十三参りの由来
弘法大師空海が19歳の時、「虚空蔵求聞持法」を修すると飛躍的に記憶力が増しました。
※虚空蔵求聞持法:虚空蔵菩薩の真言を100万回唱える修法
十三参りで、虚空蔵菩薩を参拝するようになったのは、このことにちなんでいます。
また、京都嵐山「法輪寺」によると、
「平安時代、幼くして天皇の地位についた「清和天皇」が数え年13歳になった時、成人の証として「勅願法要」を法輪寺において催した」
このことがきっかけとなり、十三参りを行うようになったということです。
ところで、数え年の13歳で大人と言われても、現代を生きる私達には疑問が残るところではないでしょうか。
だって、ねぇ~・・・今でいうと中学生の年頃ですから、ピンとこないというよりは考えられない話ではありませんか?
数え年13歳で大人とされていた!そこには、こんな理由がありました。
数え年の13歳は節目の歳だった!
数え年の13歳は、生まれ年の干支が初めて回ってくる年になります。
古来日本において、この時期は、子供が心身ともに大人に変化する重要な節目の歳とされていました。
ここで、古い時代を紐解きます。
奈良時代以降の武家社会において男子の成人を示す儀式として、元服式が行われていました。
元服式は、数え年15歳で行うのが一般的でした。
時が流れ江戸時代になると、儀式の簡略化が進みます。
すると、半元服を行ってから、本元服を行うということも行われるようになりました。
この半元服を行うのが、数え年の13歳でした。
女子はどうだったのか?というと、数え年の13歳には「髪上げの儀式」が行われていました。
それまで長く伸ばし垂れ下げていた髪を結い上げるという儀式で、平安時代から行われていたものです。
幼少期の髪型を、大人の髪型へ変える儀式になります。
このように、数え年の13歳は、大人の仲間入りをする年齢とされていました。
それに加えて、数え年の13歳は、男女とも、人生最初の厄年に当たります。
あ!と、気付いた方もいらっしゃるかと思いますが・・・
十三参りは、厄払いを兼ねた行事でもありました。
先にも書いたように、数え年の13歳は、干支が初めて一周する歳です。
このことから「子供の還暦」とも言われいます。
ところで、十三参りを行うのは数え年13歳とはいえ、その時期は決まっているのでしょうか?
続いて、十三参りの時期についてお届け致します。
十三参りの時期
本来、十三参りは、虚空蔵菩薩の縁日である旧暦3月13日に行う行事でした。
新暦でいうと、4月13日頃にあたります。
現在は1日限りでは無く、ある程度の期間を設けて行う寺院がほとんどなのですが、その寺院によって違いがあります。
ご参考までに、十三参りが行われている主な寺院と日程をご紹介いたします。
十三参りが行われる主な寺院と日程
◎京都「法輪寺」
春の十三まいり 3月13日~5月13日
秋の十三まいり 10月1日~11月30日
※御祈祷は、上記参詣期間以外でも随時行っています。
住所:京都府京都市西京区嵐山虚空蔵山町
TEL:075-862-0013
◎大阪「太平寺」
十三まいり新暦祭 2024年3月9・10・13日
十三まいり旧暦祭 2024年4月13・14日
※御祈祷は、3・4月の新暦祭・旧暦祭以外の日であれば年中受け付けていますが、事前の問合せ及び事前予約が必要です。
住所:大阪府大阪市天王寺区夕陽丘町1-1
TEL:06-6779-9133
◎東京「浅草寺」
十三参り加持 4月13日前後
※期間中は毎日執り行われますが、前後何日間という明記がありませんので直接問い合わせてみることをおススメいたします。御祈祷は、随時受け付けております。
住所:東京都台東区浅草2-3-1
TEL:03-3842-0181
◎茨城「村松山虚空蔵堂」
十三参りのお詣りは、通年可能です。
学年祭は、毎年3月25日~4月7日に行われ、特に4月第一日曜の大祭は賑わいます。
住所:茨城県那珂郡東海村村松8
TEL:029-282-2022
◎福島「福満虚空蔵菩薩圓臧寺」
十三講詣り 通年
※小学校六年生以外の十三講詣り、御祈祷は受け付けておりませんのでご注意ください。
住所:福島県鹿沼軍柳津町大字柳津下平乙234
TEL:0241-42-2114
十三参りの行事や御祈祷は、虚空蔵菩薩を祀っている寺院や神社で執り行われています。
もし、近くにそういった寺院や神社が無い(T T)という場合は、普段お参りしている神社や、お宮参りをした神社に参拝しましょう。
十三参りの服装は?
十三参りは、主に京都を中心とする関西地方において盛んな行事であり、中には七五三よりも重要とされている地域もあるほどです。
それが、近年では関東地方など、他の地域でも行われるようになってきました。
そこで、十三参りは何を着せたらいいの?と、服装への疑問をお持ちの方もいらっしゃるのでは?と思ったのでまとめておきます。
十三参りの正装は?というと、やはり着物です。
女の子は、本断ちの晴れ着を肩上げして着せます。
※本断ち:大人の寸法
肩上げ:肩山のところで縫い上げて裄丈を調整すること
お参りから帰宅したら、肩上げしている糸をすぐにほどくのが正式な儀礼です。
男の子は、羽織袴が正式な儀礼となります。
とはいうものの、必ず正装でなければいけないということはありません。
十三参りの年は、ちょうど中学進学の年にあたりますから、新しい制服を着用しても大丈夫です。
また、最近は、洋装での参拝も増えています。
その場合は、女の子ならワンピース、男の子ならスーツといったフォーマルな服装がいいでしょう。
ふーん・・・
普段着じゃぁいけないんだ・・・
という声が聞こえてきそうですが、普段着でも差支えはありません。
ただ、十三参りは、成長の節目の歳に、これから生きていくための知恵と福徳を授かるものです。
正装では無いにしても、それ相応の服装で参拝するのが礼儀だと感じます。
時の流れと共に廃れていく風習が多い時代ですが、十三参りはその逆で、全国に広がりをみせています。
きっと、子供の成長を祝い、今後を気遣う親心は、今も昔も変わらないものだからこそなのでしょう。
≪参考≫
十三まいり(じゅうさんまいり) / 京都通百科事典(京都観光・京都検定・京都の歴史)
十三まいり / 行事・祭事 虚空蔵法輪寺
人生礼儀 / 伏木神社
十三詣りについて / 村松山虚空蔵堂
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