お盆は、先祖の霊を迎え入れ、供養をする時期にあたります。
毎年の事なので、お盆に行う様々な行事も、当たり前の事になっているのではないでしょうか。
さて、普段の生活にしっかり浸透している「お盆」ではありますが、その中に「初盆」や「新盆」という特別なお盆が存在している事も、ご存知の方は多いかと思います。
「初めてのお盆」「新しいお盆」と書くので、その意味は、何となくでも想像がつくところでしょう。
でも、その時期は?と聞かれたら、答えに自信がありますか?
それだけではありません!
- 初盆と新盆って、別の事なの? とか
- 初盆と新盆は同じって聞いたけど、呼び方が違うのはなぜ?
という疑問を、お持ちではありませんか?
このような、初盆・新盆についてのモヤモヤを、ぜひ!ここで解決してください。
後半では、服装や香典など初盆・新盆にまつわるマナーをお届けしていますので、併せてご覧いただければと思います。
それでは、どうぞ・・・。
初盆・新盆とは?
「故人が亡くなって、 四十九日が過ぎてから、初めて迎えるお盆」
これが、初盆であり新盆です。
呼び方は違っても、同じ意味を持っており、二年目以降のお盆よりも念入りに供養するというのが一般的です。
法要には、親戚や故人と親しかった人を招き、お坊さんにお経をあげていただき供養をした後には、お齋を行います。
※お齋:法事・法要の後に行う会食のこと。
参列者やお坊さんに対し、感謝の意を込めたお膳であると共に、思い出話をしながら、故人を偲ぶという目的もあります。
お斎は、行わなくとも失礼には当たりません。
ただ、行わない場合は、小さなお酒と折詰弁当を持ち帰っていただくようにします。
初盆・新盆の時期
先にも書いたように、四十九日が過ぎてから初めて迎えるお盆が、初盆であり新盆です。
つまり、
- 四十九日をお盆前に迎えた場合は、その年のお盆
- 四十九日をお盆中または、お盆中を過ぎて迎えた場合は、翌年のお盆
が、初盆・新盆となります。
気を付けてほしいのは、故人の命日がお盆前の場合です。
その理由は「初めて迎えるお盆」なので、四十九日を迎える前であっても、その年のお盆が初盆・新盆に当たるという勘違いを起こしやすいからです。
初盆・新盆を迎える基準になるのは、故人の命日ではなく四十九日という事を覚えておきましょう!
初盆・新盆 呼び方の違いについて
もしかしたらなのですが、ここが一番気になってはいませんか?
女性であれば、自分の実家と嫁ぎ先で呼び方が違うという経験をした方も、いらっしゃるかと思います。
どうして二通りの漢字が使われるようになったのかは定かではありませんが、仏教上の宗派とは関係なく、地域差によるものになります。
大きく分けると、
- 西日本では初盆
- 東日本では新盆
と呼ぶ地域が多く存在します。
このように、漢字で書くと2パターンなのですが、その読み方も
- 初盆=はつぼん、ういぼん
- 新盆=にいぼん、しんぼん、あらぼん
と、複数あります。
当然、これらの呼び方が混在している地域もありますから、この地域はこう呼ぶとは、一概に言い切ることができません。
それでも、この5つの読み方を知っていれば、どこの地域に行ってもほとんど迷う事はないでしょう。
そういえば、茨城県内に、「入盆」と呼ぶ地域があるそうです。
ご参考までに・・・。
普段のお盆との違い
ここでもう1つ!
初盆・新盆と普段のお盆では、お飾りなどに違いがあるの?という疑問をお持ちではないですか?
お盆の準備やお飾りなどは、いつものお盆と大きな変わりはありません。
違うのは、絵柄の入った盆提灯の他に、「白提灯」を(玄関先や仏壇の前など)1つ飾るところです。
白提灯は、初盆・新盆の時だけに使用するもので、2回目以降のお盆では使いません。
その年のお盆が終わったら、自宅の庭でお焚き上げをしたり、菩提寺に持って行って処分してもらうといいでしょう。
※お盆のお飾りは、宗派によって違いがありますから、解らない場合は菩提寺のお坊さんに聞いてみてください。
さて・・・
初盆・新盆に関するマナーについて疑問をお持ちの皆さま!大変お待たせいたしました。
ここから先は、マナーのお話しになります。
探し物が、見つかりますように^ ^
初盆・新盆のマナー
一言でマナーといっても、初盆・新盆を迎える方と、招かれる方では違いがあります。
それぞれについて、Q&A形式でまとめました。
※Q&Aの表記は、初盆で統一していますので、予めご了承ください。
初盆・新盆を迎える方のマナー
A:普段(2回目以降)のお盆であれば地味な平服でもかまいませんが、初盆は、喪服を着た方がいいでしょう。
初盆に招いた方を迎えるという立場からも、正装をするのが礼儀です。
もし平服でというのであれば、親族とも合わせる必要があります。
初盆の法要に招く方にも、平服という事を事前に(案内状などで)伝えるようにすると親切です。
A:あくまでも目安になりますが、初盆の場合は、3万円程度(2万円~5万円)を包む方が多いようです。
また、お布施とは別に、
- 自宅に来てお経をあげていただく場合は「お車代」として、5,000円~10,000円
- 法要後のお斎に、お坊さんが参加されない場合は「御膳料」として、5,000円~20,000円
を、別途用意してお渡しするのが一般的です。
A:お布施を渡すタイミングは、法要の前後どちらでも構いません。
法要前に挨拶ができれるようであればその時に、無理な場合は、法要の後、お礼の挨拶をする時に渡しましょう。
その際に、直接手渡すのではなく、
- 切手盆に載せて渡す か
- 袱紗から取り出して渡す のが
礼儀とされています。
※切手盆:のし袋がちょうど収まるくらいの小さなお盆です。祝儀盆とも言われます。
お布施は、「奉書紙」に包むのが、一番丁寧な方法になります。
もし、奉書紙が準備出来ない場合は、白無地の封筒でも大丈夫ですが、郵便番号枠が印刷されていないものを選んでください。
表書きは、「お布施」「御布施」です。
※初盆では、薄墨を使いませんので注意してください。
あらかじめ、表書きが印刷されている市販の封筒もありますし、表には何も書かずに渡しても、失礼にあたるということはありません。
いずれにせよ、封筒の裏側には、住所、名前、金額の記載を忘れずにお願いいたします。
A:初盆のお返しは、法要に参列された方と参列せずに御供物や供花などを頂いた方双方に行います。
まず、法要に参加された方へのお返しですが、親族や故人と特に親しかった人に対しては、法要後のお斎がお返しとなります。
お斎を行わない場合は、折詰弁当とお酒を用意して、お持ち帰りいただくようにします。
その他に、御香典をいただいたお返しとして、引き出物を用意しましょう。
お返しの金額は、いただいた額の半分もしくは1/3程度が目安です。
※おおよそ2,500円~5,000円程度の引き出物がよく用いられます。
次に、法要には参列できませんが・・・と、御供物やお供物料をいただいた方へのお返しですが、こちらは御礼状を添えて引き出物を送るようにします。
お返しを送るまで、1週間程度であれば、間が空いても、失礼にはなりません。
また、金額の目安は法要に参列された方と同様で、品物は、お茶やお菓子、タオル類などの消耗品が一般的です。
最近は、カタログギフトを利用する方も増えてきています。
A:のしの表書きには「志」「初盆志」「粗供養」などが用いられます。
※お返しを送る場合は「志」「初盆志」のどちらかです。
この時の水引は、黒白もしくは双銀の結び切りになります。
初盆・新盆に招かれた方のマナー
A:初盆に招かれた場合の服装は、略式喪服が正式となります。
ただ、暑い時期であることから、最近では、地味な平服で参列する方も多くなっています。
喪服は、正式喪服、準喪服、略式喪服に分かれていて、略式喪服は、もっとも平服に近いものとなります。
男性の場合は、ダーク色のスーツに白のワイシャツ、靴とネクタイは黒、靴下は黒か紺にします。
女性の場合は、黒・紺・茶などの地味なスーツやワンピース、または、ブラウスに黒のスカートで、ストッキングは黒もしくは肌色のものを、靴下を履く場合は黒です。
暑い時期ではありますが、ノースリーブやミニスカートなど、露出の多い服装や、透け感のあるブラウスは、失礼にあたりますので避けてください。
そして、女性が注意しなくてはいけないのはブラウスの色です。白色は失礼に当たるため、黒や紺、茶色やベージュのものを選ぶようにします。
ハンドバッグは、口金などに金銀が使用されておらず光沢のない黒のものを、靴はパンプスでなくとも大丈夫ですが、黒で光沢のないものを履くようにしてください。
A:初盆の香典は、故人とのお付き合いの度合にもよりますが、5,000円~1万円が多く包まれる金額になっています。
のしの表書きは、
- 仏式であれば「御仏前」「御佛前」「御供物料」
- 神式であれば「御玉串料」「御神前」「御供物料」として、
水引の下にはフルネームを書きます。
水引は双銀・黒白、藍銀、黄銀、黄白の結び切りのものを、包む金額に応じて選んでください。
※関西では、黄銀、黄白を用いるのが一般的です。
香典の他にお供えを持参する場合は、のしの表書きを「御供物」「御供」とします。
のし袋に入れるお札は、汚れていたり、しわの多いものはもちろんですが、新券も失礼にあたります。
新券を使う場合は、一度ふたつに折ってから、のし袋に入れるようにしましょう。
なお、のし袋入れるお札の向きは、特に決まりはありませんが、肖像を下にして、裏向きに(封を切って取り出したときに表が見えるように)入れるのが無難とされています。
A:初盆を迎える親族がいる場合、盆提灯を贈るというしきたりがあります。
ただ、現代の住宅事情(飾る場所が無いなど)もありますので、先方に問合せて大丈夫な場合に贈るようにしましょう。
「御提灯代」として、香典とは別にお金を包む場合もあります。
初盆・新盆について、その時期や主だったマナーを、Q&Aでお届けいたしましたがいかがでしたでしょうか。
初盆・新盆は仏事ですので、相応のマナーは心得ておきたいところです。
それに加え、故人を弔うという心を忘れないでいただきたいと思います。
この記事が、少しでもお役に立てたとしたら幸いです。
≪参考≫
おぼん・はつぼん / 冠婚葬祭マナー&ビジネス知識
新盆を迎える側・又は招かれたら / All About 暮らし
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